アイアン・メイデンのエイドリアン・スミス、スティーヴ・ハリスが偶然聴いていなかったらお蔵入りになっていただろうメイデンのヒット曲について語る

アイアン・メイデン（Iron Maiden）のエイドリアン・スミス（Adrian Smith）はMusicRadarの新しいインタビューの中で、スティーヴ・ハリス（Steve Harris）が偶然聴いていなかったらお蔵入りになっていただろうメイデンのヒット曲について語っています。

その曲は1986年アルバム『Somewhere In Time』の収録曲「Wasted Years」。

スミスは、その曲を書いてデモを録音してみたものの、少しU2っぽい感じだったのでメイデンには合わないんじゃないかと思い、ハリスには聴かせないつもりでした。しかし、リハーサルでそれを弾いているのをハリスが偶然聴いて「いいじゃないか。やってみよう」となり完成したという。

スミスはアルバム『Somewhere In Time』で、バンドの代表的なヒット曲2曲を生み出しました。

このアルバムの制作に入る前、ブルース・ディッキンソンは13ヶ月間連続でツアーを続けたことで生じた疲労によって精神的に参っていました。

「あのツアーはブルースを非常に疲れさせたし、バンド全員にとっても大きな負担となった。ブルースは（バンドを意識的に離れて）フェンシングに夢中になっていて、大会にも出場していた。彼が書いた曲を持ち込んだとき、それはすべてアコースティックだった。その中には良い曲もあったけど、他のメンバーがやりたいと思うような曲ではなかったんだ」

その結果、『Somewhere In Time』にはディッキンソンの曲は収録されず、その穴埋めはスミス、デイヴ・マーレイ、スティーヴ・ハリスに委ねられました。

アルバムの8曲のうち、4曲はハリスが単独で作曲し、1曲はハリスとマーレイが共同で作曲し、残りの3曲はスミスによって書かれました。

「俺らはジャージー島にいた。毎日リハーサルをするはずだったんだけど、1か月間ホテルにいても、みんな何もしなかった。ただ飲んでいただけだった。

俺はブルースとはよく一緒に曲を書いていたんだけど、彼はいなかったし、俺は冬の間ずっとジャージー島に閉じ込められ、ホテルで凍えそうになりながら、ただ書き始めた。その時に“Wasted Years”“Sea Of Madness”“Stranger In A Strange Land”が生まれたんだ。

ある日、歯の根管治療を受けなければならなかった。何時間も椅子に座っていた。ひどい経験だった。タクシーでホテルに戻る途中、雨が激しく降っていて、その時、“Stranger In A Strange Land”のリフが突然浮かんだ。ホテルに戻ってそれをメモした。

このアルバムでは新しいアイデアを試していた。俺はいつも、本当にプロデュースされたサウンドのアルバムを作りたいと思っていた。ライヴのサウンドに少し魔法の粉を振りかけたようなものとは対照的にね。

だから、俺たちが使ったアンプはトランジスタアンプだった。デフ・レパードも少し使っていて、みんながそれに夢中になった。即効性のあるサウンドだったからね。プラグを差し込むと、ワオ！という感じだった。コーラスとかディストーションとか、さまざまな効果があった。

デイヴもそのアルバムで使うようになった。ギター・シンセも俺らはかなりハマった。それが“Wasted Years”のギターリフのアイデアを思いついたきっかけだった。

日本から届いたローランド製ギターシンセを箱から取り出して、スイッチを入れたら、とんでもない音が鳴り始めたので、それに合わせて演奏してみた。まるでリズムのような感じだった。それで、すぐに曲ができたんだ。

それの4トラックデモを少し録音してみたんだけど、少しU2っぽい感じだった。バンドには合わないんじゃないかと思っていたから、スティーヴには聴かせないつもりだったんだけど、リハーサルで俺が弾いているのを彼が聴いて“いいじゃないか。やってみよう”と言ったんだよ。

スティーヴにはそういうところがあって面白い。気に入らないと思ったけど、“やってみよう！”という感じだった。 ブルースがいなかったので、俺は歌詞も急いで書いた。

本当にすぐに書いた。もしスティーヴが偶然それを聴いていなかったら、絶対に彼にそれを聴かせなかっただろうね」

「Wasted Years」は英国でトップ20ヒットとなり、強い鎮静剤を投与された状態で書かれた「Stranger In A Strange Land」は22位を記録しました。

スミスはこう言っています。「こんなことになるなんて面白いよね！」