Paul McCartney with Linda and Denny Laine, as Wings - Credit: Clive Arrowsmith
1974年に
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)が構想し、それをSF作家のアイザック・アシモフが膨らませるが、ポールはアイザックの案を気に入らずに拒否したため実現しなかったという、幻の
ウイングス(Wings)主演のSFミュージカル映画の企画書が発掘されました。地球侵略を企む宇宙人を題材にしたSFミュージカル映画だったようです。英ガーディアン紙が報じています。
企画書は、作家のアラン・コジンとエイドリアン・シンクレアによって、近日出版予定の本の調査中に米国のアーカイブから発見されました。この企画書の発見は12月10日にハーパーコリンズ社から出版される『The McCartney Legacy, Volume 2: 1974-80』で明らかにされています。
ポールは当時、ウイングス主演の映画を制作したいと考えていました。彼は、地球にやってきた宇宙人のバンドがウイングスのメンバーに変身し、本物のウイングスに挑戦するというストーリーを思いつきました。
『Five and Five and One』という仮題が付けられたこの作品についての約400語にわたるポールの企画書は、次のように始まります。
「UFOが着陸する。そこから5つの生き物が出てくる。その生物は見る見るうちに僕たち(ウイングス)へと変身する。彼らはアメリカで旋風を巻き起こし、地球を支配するためにやってきた。彼らはスーパーバンドスタイルでそれを実行に移す。一方、イギリスの片田舎では、宇宙人がその個性を利用しているオリジナルグループが暮らしていた…」
このほか、いくつかの断片的な台詞と、ポールの新しい曲をいくつか取り入れることを意図したと思われるプロットが書かれていました。
1974年、ポールはアイザックと共同で脚本を執筆することを期待してニューヨークを訪れました。
アイザックはポールの構想を膨らませ、再構築して改稿(5ページ)しました。
彼は宇宙人を「エネルギー存在」として、死にかけている惑星からやってきた彼らは、ウイングスのミュージシャンをクローン化するのではなく、占領しようとしていると描き、また、彼らは愛などの人間の感情を理解することができない存在にしました。アイザックはまた、彼らが「思考波」を通じてコミュニケーションを取るとも書きました。彼らは演奏されている音楽を聞くと、「不思議な影響を受け」、「人間の感情を解き放つためには、音楽のキーを使わなければならない」と書いています。
この企画書の発見したひとり、アランは次のように語っています。
「私たちは、ポール・マッカートニーとアシモフが実際にやり取りした往復書簡を持っています。マッカートニーの構想案もあるし、また、マッカートニーが特に気に入らなかったアシモフによる原稿の改稿も入手しています。
1975年初頭までに、このプロジェクトは中止となりました。“マッカートニーが良いものを認識できなかったため、結局何も実現しなかった”というのが、この2人の失敗したコラボレーションに対するアシモフの簡潔な見解で、1800語の文書の最初のページに走り書きされていました。
興味深いのは、マッカートニーの当初のアイデアがどのようなものだったか、そして、アシモフのようなSFの巨匠がそれをどのように改善しようとしたか、そしてマッカートニーがそれを断ったという事実です」