バンド・エイドの「Do They Know It's Christmas?」は、アフリカが飢饉と貧困に悩まされているという考えを助長していると主張している、ガーナ系イギリス人ラッパーのFuse ODGは、同曲の40周年記念リメイク版への反論として新曲「We Know It's Christmas」のミュージックビデオを公開しています。
「Do They Know It's Christmas?」は、1984年にエチオピアで起こった飢餓を受けて制作されました。しかし、長年にわたり、この曲の歌詞は、アフリカを西洋諸国の介入によって救済されるべき不毛の地として描写しているとして批判されてきました。
エド・シーラン(Ed Sheeran)は2014年の30周年ヴァージョンに参加しましたが、それから10年が経ち、この曲に対する自身の理解も変わったため、40周年を記念した新ヴァージョンに自身のヴォーカルを再利用されたのは不本意で、もし選択権があったなら断っていたとの声明を発表しました。その際、シーランはFuse ODGのSNS投稿を引用していました。Fuse ODGは投稿で、自分は10年前にシーランとともに「Band Aid 30」への参加を依頼されたが断ったと述べています。
以下、Fuse ODGの投稿より
「僕がBand Aidへの参加を断ったのは、このような取り組みがアフリカに与える悪影響を認識していたから。このような取り組みは、同情や寄付を集めるかもしれないが、アフリカの経済成長や観光、投資を妨げる有害な固定観念を永続させるものであり、最終的にはアフリカ大陸に何兆もの損失をもたらし、アフリカの尊厳や誇り、アイデンティティを破壊するものだ」
Fuse ODGは英BBC Radio 1の番組『Newsbeat』の取材にも応じ、「Do They Know It's Christmas?」が、アフリカが「飢饉と貧困」に悩まされているという考えを助長していると述べ、これは「真実ではない」と述べています。
Fuse ODGは、今回リリースした「We Know It's Christmas」について「ただの曲ではなく、声明なんだ」と述べています。
以下、この曲のプレスリリースより
「“We Know It’s Christmas”は、単なる批判ではなく、物事がどこまで進んだかを祝うものだ。この曲は、アフリカ大陸の経済力の高まりを強調しており、ガーナだけでも、観光と送金が、外国からの援助の総額よりも経済に貢献していることを指摘している。
Fuse ODGはこう語っている。
“We Know It’s Christmasはただの曲ではなく、声明なんだ。この曲は、俺たちがどこから来て、どこに向かっているのかを反映している。10年前、俺が立ち上がったのは、アフリカ人が自分たちの物語を語り、物語を再定義する時が来たと思ったからだ。この曲は、その変化を祝うものなんだ。俺たちはもはや慈善を待っているわけではない。自分たちで未来を築いている。この曲は、力強さ、誇り、そして世界に対して、アフリカの物語は貧困や援助だけではないことを示すものだ”」
ビデオはFuse ODGが英TV番組で「アフリカの問題はアフリカ人が解決すべきだ」と生放送で宣言するところから始まります。