英BBCは、世界に影響を与えた「ことしの女性100人」の一人に、ヒジャブを身に着けたイスラム教徒の女性3人が組んだインドネシアのガールズ・メタル・バンド、
ヴォイス・オブ・バチェプロト(Voice of Baceprot)のシンガー/ギタリストFirda Marsya Kurniaを選んでいます。
BBCは、世界の人たちに影響を与えた100人の女性を毎年発表していて、12月3日に、ことしのリストを公表しました。日本からはタレントの渡辺直美などが選ばれています。
メタル大国として知られるインドネシアですが、その一方でイスラム教の宗教警察によってパンクスが拘束されるなど、規制が厳しいことでも知られています。
2014年、西ジャワ州ガルト郊外の小さな村シンガジャヤでFirda Marsya Kurnia(ヴォーカル、ギター)、Widi Rahmawati(ベース)、Euis Siti Aisyah(ドラムス)という3人の十代の少女がシステム・オブ・ア・ダウンやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、メタリカなどから影響を受けてヴォイス・オブ・バチェプロトを結成。当初はカヴァー曲を演奏していましたがオリジナル路線で頭角を現し、2018年にシングルで正式デビュー、2023年にはデビューアルバム『Retas』をリリースしました。
彼女たちはエクストリームなサウンドと卓越したテクニック、英語とスンダ語を交えたメッセージ性の強い歌詞(家父長制、性的暴行、表現の自由といったテーマを取り上げている)、ヒジャブを髪に纏ったヴィジュアルなどがSNSなどで話題を呼んでいます。
BBCは、Firda Marsya Kurniaについて次のように記しています。
「ジェンダーや宗教の規範に異議を唱えることは、女性ばかりのヘヴィメタルバンドVoice of Baceprotのリードボーカル兼ギタリストであるFirda Marsya Kurniaにとって、まったく抵抗のないことである。
英語とスンダ語(インドネシアで最も広く話されている言語のひとつ)で歌うこの3人組の歌詞は、家父長制に対する彼女たちのフラストレーションを表現している。
保守的なイスラム教徒からは反発があり、バンドがヘヴィメタルに挑戦したとき、彼らは良い反応を示さなかった。
しかし、彼女たちは10年前に西ジャワ州ガルトの村の学校でバンド活動を始めて以来、長い道のりを歩んできました。今年、彼女たちはグラストンベリー・フェスティバルに出演し、同フェスティバルの54年の歴史において初のインドネシア人バンドとなりました」