AI技術についてメンバー間で対立が生じてヴォーカルが脱退。1970年代に結成された米パンクバンドの
デッド・ボーイズ(Dead Boys)から、2017年からヴォーカルを担当していたジェイク・ハウトが脱退しました。ハウトは、レコード会社とバンドがAI技術を使って1990年に亡くなったオリジナル・フロントマンのスティーヴ・ベイターズの声を再現しようとしていると主張し、自分はそれを容認できないため、脱退することになったとSNSで説明しています。
ロサンゼルスを拠点とするCleopatra Recordsは先日、デッド・ボーイズの新アルバムを2025年にリリースすると発表しました。1978年のアルバム『We Have Come for Your Children』以来、また1990年にベイターズが亡くなってから初めてとなる新曲を集めた新作で、プレスリリースでレーベルは、このアルバムは「スティーヴの独特な歌声と新しい要素をシームレスに融合」させていると説明していました。
ハウトはInstagramに次のように書いています。
「彼らは、偽物のロボットAIスティーヴ・ベイターズの声を使ったアルバムをリリースするつもりだ!彼らは俺の声を偽物のロボ・スティーヴの声のテンプレートにしようとしたが、俺は絶対にそんなことはできない。それは俺の信条に反する。それは俺の守護天使に対する無慈悲な盗作であり、絶対に許されない。スティーヴ・ベイターズはクソロボットなんかじゃない!俺もクソロボットなんかじゃない!俺はジェイク・ハウトだ!」
「この話をできるだけ短くまとめると、クレオパトラは“これはAIのアルバムだ”と言ったが、チーター(クローム/創設メンバー)は“そうではない”と断言した。
しかし、契約書の冒頭にはこう書かれていた。“アーティストは、スティーヴ・ベイターズのオリジナル音声を基にした作品を制作する目的で、会社の楽曲のマスター録音に使用し、人工知能(AI)技術を活用したヴォーカル・パフォーマンス(以下パフォーマンス)を行うことに同意する”。だから俺はノーと言った。チーターにすぐに、俺は辞めざるを得ないだろうと伝えた。そして、その理由をみんなに伝えてほしいとも伝えた。これは8月の出来事だった。俺は彼に何度も念を押した。最後には毎日。しかし、無駄だった。俺は、ラインナップの変更や芸術的なツールなどにはグレーゾーンがあることを知っている。ここには大きな皮肉がある。俺は実際に“スティーヴなしではデッドボーイズはありえない”という人々に共感する。俺はいつもそう思っていた! 俺個人としては、AIはあまりにもかけ離れた存在。俺はいつもスティーヴに敬意を表し、彼の音楽に心と血と情熱と魂を吹き込んで生かし続けようとしてきた。AIにはそんなものは何もない。
みんなのことをとても愛しているし、とても寂しくなるだろう。でも、俺のこの道はここで終わりだ」
これに対し、デッド・ボーイズは新しいシンガーを探していることを明らかにしており、SNSでハウトの主張に反論しています。
「デッド・ボーイズは、先ごろフロントマンを解雇したことを受け、現在、新たなヴォーカリストを積極的に探しています。ファンの間では、偉大なる故スティーヴ・ベイターズの後任として彼を受け入れることに抵抗があることは明らかだった。その伝説的な存在は、かけがえのないものであり、今後も変わらないだろう。
元メンバーは退団後、デッド・ボーイズの創設者チータ・クロームとクレオパトラ・レコードに対して、毒と怒りを吐き散らし、ソーシャルメディア上で誤情報と虚偽を広めている。このような行動にもかかわらず、バンドは結束を保ち、未来に目を向けており、ファンに対して明確なメッセージを発信しています。“アルバムを待て。がっかりさせないから”と。厳しい状況が続いていますが、彼の今後の活躍を願っています」