亡くなった父親のことをより深く知りたいと願った娘は、父親が残した膨大なレコード・コレクションを聴くことにした。その様子をSNSで共有すると、父親と同じ情熱を持つ人々とのつながりができ、その人々によって父親が自分の中で生き続けていることを感じ、父親との距離が近づいたように思っているという。
娘の名前はジュラ。カナダ在住の24歳。ジュラは英ガーディアン紙の取材に応じました。
彼女の父親が数年前に亡くなったとき、父親は彼女にレコード・コレクションを残しました。そのコレクションは、オペラから60年代サイケ、プログレッシブロック、ニューウェーブまで、さまざまなジャンルのレコード1万枚近くに及びます。これらのレコードはジュラが父親から受け継いだ唯一の物理的な遺品でした。「父の形見のようなものなので、場所を取るんだけど、どれも手放したくないと思いました」と話しています。
最初は、棚に並ぶレコードの山を見て圧倒されるような気持ちだったジュラですが、今夏にいくつかのレコードを聴いてみることにしました。「お父さんと同じ年代の人たちの中には、そのレコードをよく知っている人もいるだろうから」という友人の勧めで、その様子をSNSに投稿し始めました。現在ではジュラのinstagramアカウントは322,000人以上のフォロワーを集めています。
亡き父親について知るという個人的な行為をソーシャルメディアのプロジェクトに変えることで、ジュラは自分の気持ちを整理することができたという。彼女は自分の投稿に対するコメントを読むのが好きだと言っています。
「父はいつも音楽の話をしていたので、みなさんの反応は本当に父を私の中で生き続けさせてくれています。私がアルバムの話をすると、誰かがそのアルバムに関する事実やちょっとした情報を教えてくれるので、まるで父がそこにいるような気持ちになります。父ならそうするでしょうから」
ジュラのフォロワーの中には、彼女のアカウントが自身の悲しみを乗り越える手助けになっていると言っている人もいます。
「数年前に父が亡くなりました。父はレコードコレクターではありませんでしたが、このアカウントは父が残したものを見つけた時に、物事をどう整理するべきか本当に役立ちます。こうすることで、これらにまったく新しい意味が生まれ、父がどんな人物であったかを、私が知っていた以上に多くのことを教えてくれます」
Z世代であるジュラは、これまで音楽はほぼオンラインで済ませていました。しかし今では、レコードの扱い方を学び、シングル曲からすぐに聴くのではなく、アルバムを最初から最後まで聴くようになったという。彼女はアナログの魅力に気づき始めています。
父親のレコードを手に取るだけでも意味があると感じており、ジュラは父との距離が近づいたように感じているという。「これらは父が持っていたもの。私の耳は父と同じ音の空間へと導かれているのよ」