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ニュー・オーダー、80年代は歌詞は共同作業/なぜメタル姿でMVを撮影?/シングルにすべきだったアルバム曲/『Movement』を再評価/新曲は?など語る

2024/11/21 19:08掲載
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New Order
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ニュー・オーダー(New Order)の1986年アルバム『Brotherhood』の包括的なボックスセット『Brotherhood (Definitive Edition)』の発売にあわせ、ドラマーのスティーヴン・モリス(Stephen Morris)はBrooklynVeganの新しいインタビューの中で当時を語っています。

80年代は歌詞は共同作業だったこと、なぜヘヴィメタル姿で「The Touched by the Hand of God」のミュージックビデオを撮影したのか、シングルにすべきだったアルバム曲は? 1stアルバム『Movement』を再評価した理由、ニュー・オーダーは何か新しいことに取り組んでいるのか?などについて語っています。

Q:あの時代には、歌詞はバーナード(サムナー)がすべて書いていたというよりも、グループの共同作業だったんですよね?

「うん、その通りだよ。80年代の歌詞はみんなで協力して書いていた。『Brotherhood』の時は、リバプールのAmazonスタジオに行った。僕たちのスタジオの廊下の向こう側の別のスタジオにはエコー&ザ・バニーメンがいた。彼らは僕たちのスタジオに入ってきて、僕たちが“6月(June)と韻を踏む言葉で月(Moon)以外に何がある?と話しているのを見て驚いていた。イアン・マッカロクは“歌詞をみんなで書くのか?”と言っていたので、僕は“うん、君もそうだろう?”と言ったよ。彼らは僕たちのひどい走り書きに驚きつつも、かなり面白がっていた。ええ、でも、本当に困っているときは何だっていいんだ。文字通り青天の霹靂。“Bizarre Love Triangle”は、僕たちの良い成果のひとつだったと思う。 集団的な歌詞の書き方だった。酔っ払っているときはやめた方がいいよ!」

Q:「Every Little Counts」の「お前は豚だ、動物園にでも行ってろ」という歌詞は、酔っ払ってマイクを握って歌ったものだったんですか?

「うん。あれはワンテイクで、それだけだった。それで終わり。“君と一緒にいる時は1秒1秒が大切だ”に誰かが“お前は豚だ”と言った。おそらくジリアンだったと思う。“動物園にでも行ってろ”と。で、“バーナード、歌ってみろよ”みたいな感じだった。あの曲を聴けばわかるように、あまり深刻に考えていなかった」

Q:「Bizarre Love Triangle」に戻りますが、これはニュー・オーダーの最も有名なシングルの1つであり、おそらく最高のビデオだと思います。

「うん。あれは良かったよ。僕らのビデオの中でもかなり良い方だ。とてもアメリカ的。“Bizarre Love Triangle”は絶対に大ヒットすると思った。アメリカではヒットしたけど、こっち(イギリス)では“何か間違ってるんじゃないか?”って感じだった。今ではライヴで演奏するとみんな狂ったように盛り上がる。あの時何が起こったのか分からない。おそらく、メディアが僕たちを中傷したか何かしたんだろう。アメリカには感謝している。向こうではうまくいったし、ビデオもね」

Q:ミュージックビデオの監督には本当に恵まれていましたね。アカデミー賞の監督賞を受賞した監督が2人いる。ジョナサン・デミは「The Perfect Kis」を監督し、キャスリン・ビグローは「Touched by the Hand of God」を監督した。

「僕たちが彼らにステータスを与えたと思いたいね。ジョナサン・デミは懐かしいね。彼は本当に素晴らしかった。ボックスセットに入っていた“Bizarre Love Triangle”のヴァージョンは、彼の映画『愛されちゃって、マフィア(原題:Married to the Mob)』に使われたんだけど、それも見つけられなかったオリジナルテープの一つだった。『愛されちゃって、マフィア』のサウンドトラックはどこかにあるはずなんだけど、それがどこにあるのかは神のみぞ知るだね」

Q:「The Touched by the Hand of God」のビデオ撮影について、何か覚えていることはありますか? (質問を終える前にスティーヴンが笑い出す)

「あれは面白かった。本当に面白かった。僕らはアメリカに何度も行っていたし、MTVもたくさん見ていた。MTVが“Bizarre Love Triangle”を放送しなかったことに腹を立てていたけど、流してくれることを期待していつも見ていた。でも、いつも目にするのはホワイトスネイクとか、ポイズンとか、少し女性嫌悪的な雰囲気な、ふわふわしたヘアーメタルバンドばかりだったので、“自分たちもそんなビデオを作ったら面白いんじゃないか?そうすれば、ぴったりだからMTVでも放送されるはずだ”と思ったんだよ。キャスリンは、そのアイデアにかなり戸惑っていた。“ヘヴィメタルのビデオなんてどうやって作ればいいのかわからない”という感じだった。僕たちはMTVをつけて、“これを見たことがない?こんな感じで”と言ったんだよ。振付師はいた。振り付け師と衣装デザイナーがチータムヒルのリハーサルルームに来て、僕たちをドレスアップさせた。僕たちは皆、全く違う見た目になったけど、フッキーだけはほとんど同じように見えた。ただウィッグをかぶっていただけだった。

(彼はすでに自分のレザージャケットを持っていた)

変な感じだったよ。その後、ビデオがMTVで放送されたとき、みんなは僕たちが本当にハードロックバンドみたいだと思ったんだ。僕たちはそのジャンルを茶化そうだなんて思っていなかった。いつも冗談が通じない奴っているだろ、でもそれが狙いだったんだ。最高だったよ。撮影のときは凍えるほど寒かったのを覚えている。ギリアンは風邪をひいてしまった」

Q:撮影場所はどこだったのですか?

「たしかロンドンのブリクストン・アカデミーだったと思う。屋外のシーンについてはね。そうそう、ビル・パクストン。彼も出てるんだ」

Q:えっ、そうなの?今まで気づかなかった。

「うん、彼は出ているよ。少し中盤のほうで、高速道路を走っている男の場面に。ビル・パクストン。僕たちが彼のキャリアをスタートさせたんだ(笑)!」



Q:ニュー・オーダーのライヴでまた演奏したいのに、なかなか実現しない曲はありますか?

「ライヴでやりたいけど、実現しない曲のリストは、腕の長さほどもあるよ。例えば“Way of Life”は良い曲だね。今朝、ジリアンとちょうどその話をしていたところだよ。『Power, Corruption & Lies』収録の“Leave Me Alone”もね。あれはやるといい曲なんだ。他にもたくさんある。“Everything’s Gone Green”。なぜあの曲を演奏しないんだ?あれは楽しい曲なのに。“Everything’s Gone GreenやThieves Like Usをなんで演奏しないんだ?”と聞かれることが何度あったことか」

Q:アルバム曲だけだったけど、シングルとしてリリースすべきだったと思う曲はありますか?

「シングルにすべきだったアルバム曲? それは不思議だね。それはないな。僕らはいつもシングルはシングル、アルバムはアルバムだと考えていたから。いつもそうだったんだ。ちょっと視野が狭いかもしれないけど、そういう感じだった。“Blue Monday”のようなシングル曲は、アルバムに入れるには長すぎる。誰かがこっそり編集して、こっちに内緒で入れたもの以外は、アルバムには絶対に収録されない。どこかで起こったことだ。たまには、そういうのを耳にすることもあるだろう。

奇妙なことに、『Brotherhood』のアトモス・ミックスの作業をしていると、それをやっているような気分になる。今、スティーヴ・ウィルソンと一緒に作業をしていて、『Movement』を聴き返してみると、シングルになりそうな曲がたくさんあると思う。今は本当にこのアルバムが好きだ。当時は決して聴くことができなかった。“Chosen Time”のような曲や、アルバムのいくつかの曲は素晴らしいものだったと思うけど、当時はひどい状態だったから、その良さを理解できなかったんだ。

何度も繰り返し聴くことで、ある種の浄化作用のような体験になった。頭の中が別のことを考えているような感じで。僕にとって『Movement』の評価が上がった。ニュー・オーダーのアルバムの中で、いつも順位はかなり低かった。周りが“あれは最初にやったことだから、ひどいよね”と言うから。ある意味で無視されていたと思う。悲しいことに無視されていた」

Q:過渡期のアルバムだ。

「その通り。このアルバムには素晴らしいアイデアがいくつかあったのに、すっかり忘れてしまっていた。僕たちはそれをもう一度引っ張り出したくなかったから、片隅に追いやられて、本当に再検討することはなかったんだ」

Q:君たちの最後のアルバム『Music Complete』は来年で10周年になりますね。

「ああ、なんてことだ。ボックスセットを出さないと。いや、そんなに長くは感じない。あっという間だったよね?何と言ったらいいか分からない。つまり、あれはちょっと…書くのは難しかったけど、全体的には楽しい作業だったし、素晴らしいものになったと思う。あまりにも高いハードルを自分に課してしまったんじゃないかという不安もあるけど、それについては、もう完全に忘れるしかないね」

Q:ニュー・オーダーは何か新しいことに取り組んでいるのでしょうか?

「少し前にやったよ。コロナ禍で時間があったから、クリエイティブなことをするのに良い時期だと思ったんだけど、実際には逆のことが起こった。ただ時間がたくさんあったから、何もできなかったんだ。いくつかのことを始めたけど、結局、ただ消えてしまった。残念だけど、遅かれ早かれ何かが起こると思う。税金の請求書、それは通常、素晴らしいインスピレーションの源になるんだ。

前にもうまくいったことがある。そう。“そうだ、もう一軒ナイトクラブを開こう”ってね。だからたくさんの曲を書いた。あの忌々しいハシエンダの支払いをしなくちゃならなかったから。本当のことだよ」