1980年代後半、あるベーシストがオランダからロサンゼルスに移住してきた。オランダで使っていたアンプは輸送するには大きすぎたため、LAで購入するつもりでショップを訪れたが、在庫がなく、週末のライヴには間に合わないことが判明する。その時、彼の後ろに立っていた紳士が「僕のを使えばいい」と申し出る。思いがけない救世主は
ザ・フー(The Who)の
ジョン・エントウィッスル(John Entwistle)だった。
このベーシストは、後に
ポルノ・フォー・パイロス(Porno For Pyros)に参加するマーティン・レ・ノーブル。米Guitar Worldの新しいインタビューの中で、この逸話について語っています。
「結局、80年代にトレース・エリオットのアンプに切り替えたんだ。アメリカに移住した後も当初はそれを使っていた。
オランダで使っていた(トレース・エリオットの)アンプは、こちらに輸送するには大きすぎたので、ロサンゼルスのベース・センターで別のものを買おうと思って訪れたんだ。僕は週末にライヴがあったんだけど、アンプの在庫がなかった。店員からは“ライヴまでにアンプを用意することはできません”と言われてしまったんだ。
すると、僕の後ろに立っていた紳士がこう言った。“もしよかったら、僕のを使ってもいいよ”。ザ・フーのジョン・エントウィッスルでした。彼は僕の住所を尋ね、彼のテック担当の一人がそれを俺の家に持ってきてくれたんだ。
そう、だから、僕がLAで行った最初の2回のライヴは、ジョン・エントウィッスルのトレース・エリオットのアンプを使って演奏したんだよ。彼は僕にとって赤の他人なのにね。
彼は“もし君が使うなら、来週届く君のアンプを僕がもらうよ”と言っていた。だから、彼にとってリスクはまったくなかったんだ」