ドリーム・シアター(Dream Theater)は結成当初からツアーに重点を置き、すでにツアーバンドとして地位を確立していたので、最近の音楽ビジネスの「アルバムよりもツアー重視」の変化は自分たちに有利に働いたと考えているという。アルバム販売の収入に頼らずツアー・バンドとして成功を収めることを選んだことについて、メンバーの
ジョン・ペトルーシ(John Petrucci)がGoldmine Magazineの新しいインタビューの中で振り返っています。
Q:現在、音楽ビジネス全体の状況が変わっています。今ではツアーが主な原動力であり、アルバムは二の次です。数年前まではその逆でした。バンドのキャリアを通じて、その変化をどのように乗り越えてきたのですか?
「そのことについて興味深い話がある。ドリーム・シアターの場合、商業的な成功はあまりなかった。2枚目のアルバム『Images and Words』に収録された“Pull Me Under”がロックラジオでヒットし、ゴールドレコードを獲得したけど、それ以外は、アルバムを何百万枚も売ることにあまり期待できなかった。僕たちの将来は、ツアーやライヴパフォーマンスにあるという考え方でキャリアをスタートさせたから、早い段階からそうした活動に重点を置いていたんだ。僕たちは国際的なバンドで、最初から国際的なファン層を開拓していた。だから、今、君が言ったようなパラダイム・シフトは感じなかった。僕たちはすでにそれを確立していたからね。僕たちはアルバムの売り上げに頼らず、ツアーやグッズ販売などによる収入に頼るメジャーなツアーバンドだった。その点に関しては、僕たちに有利に働いたと言える。何百万枚もアルバムを売って、年に数回ライヴをするようなポップ・バンドとは違った。僕たちは、世界中で150公演のツアーをこなさなければならなかった。それが僕らの収入源だったんだ。ありがたいことに、それは今も変わらないよ」
Q:ツアーバンドとして地位を確立したことで、レコード会社に依存していなかったことも興味深いですね。レコード会社の商業的な指示に従う必要がなかったという自由があったということでしょうか?
「そうだね。それも興味深い話だよね。僕たちのレコード会社は...。これまで僕たちはいくつかのレコード会社と契約してきたけど、最初のアルバムではなく、2枚目の時に契約したAtco Recordsは8枚のアルバム契約だった。普通はありえない。でも僕たちは若かったし、“うん、サインしよう”という感じだった。興味深いのは、レーベル側が僕たちが自立していることに早い段階で気づいたこと。僕たちは国際的なツアーバンドで、熱狂的なファンがいて、バンドを愛してくれている。グッズ販売も好調だ。ヒットシングルがなくても、僕たちはやっていける。レーベルは僕らに自由にやらせてくれたし、その契約の8つのオプションすべてを更新してくれた。信じられないことだよね。それから、自分たちでプロデュースするようになった。
僕たちは早くから独立していた。時々“Pull Me Underのような曲がもう1曲あればいいのに”というような声が上がったけど、でも、それほど狂気じみたプレッシャーはなかった。“これをやらなければ、君たちをクビにする”というようなことは一切なかった。最終的には“君たちは自分たちが何をすべきか分かっているようだから、どうぞやってくれ”という感じだったよ」
Q:ドリーム・シアターはツアー・バンドとして成功を収め、その成功は今も続いています。あなたにとっての成功とはどのようなものでしょうか?
「少し難解な部分もあるけど、ギター奏者として、ミュージシャンとして、アーティストとして、自分が好きなことを仕事にできることをとても嬉しく思っているよ。それが僕の原動力だ。それが僕のアイデンティティであり、個性だ。誰もがそれをできるわけではない。だから、僕はそれをとても謙虚に受け止めているし、当たり前のことだとは思っていない。クリエイティブな人として好きなことをできること、それだけで成功なんだ。現実的なレベルでは、芸術の分野でキャリアを築くことは容易ではなく、生活を維持することも簡単ではない。芸術の分野でキャリアを築き、生活を支え、自分や家族を養い、素晴らしい人生を送れるということは、決して当たり前のことではない。芸術の分野でのキャリアは非常に難しいものだからね。だから、僕にとってこれらが成功の尺度なんだ。
その過程で、自分のやっていることに感情的に共感してくれて、楽しんでくれる人々がいるとしたら、それは素晴らしいボーナスになる。アーティストとして自分自身に正直でいられること、そして自分の作品を評価してもらえ、それを生業にしていくことができれば、これ以上のことはない。夢のようだ。世界中には音楽やアートを作っている人がたくさんいる。その中でプロとして活動できることは、本当にありがたいことだよ」
Q:最後の質問です。もし歴史上のレコーディング・セッションに目撃することができたら、どのセッションを選びますか?
「それは凄いね。ビッグな質問だ。おそらくピンク・フロイドの『The Wall』だろうね。あれは多くのレベルで画期的なアルバムの1つだと思うから。よく疑問に思うのは、彼らはどんな人たちだったのか? どんなプロセスだったのか? 何を考えていたのか? どうやってこれを思いついたのか? その制作過程を目撃できるなんて、かなりすごいことだよね」