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エルヴィス・コステロ「音楽は共有言語。引用がなければバッハもモーツァルトも存在しない。ソニー・ロリンズも存在しないだろう」

2024/10/29 15:57掲載
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Elvis Costello
Elvis Costello
エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は、ポップ・スターの楽曲のギターリフが、自身の楽曲と酷似しているという指摘に「法的に訴える必要はない。馬鹿げている。音楽は共有言語なんだ。引用がなければバッハもモーツァルトも存在しない。ソニー・ロリンズも存在しないだろう」と語っています。

オリヴィア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)が2021年にデビューアルバム『Sour』をリリースした際、そのオープニング曲「Brutal」のパワーコード主体のギターリフが、1978年のエルヴィス・コステロのヒット曲「Pump It Up」のそれと酷似していることに多くのリスナーが気づきました。

Vanity Fair誌の新しいインタビューの中で、コステロは50年以上にわたる輝かしいキャリアを振り返り、音楽活動が終わったとき、最初の2枚のアルバム『My Aim Is True』(1977年)と『This Year’s Model』(1978年)が自身のレガシーを独占していることについてどう感じているか尋ねられ、こう話しています。

「父が亡くなった時、父はとても有名なレモネードのCMの声を担当していた。(新聞の)見出しには“レモネードの秘密の愛飲者が死去”と書かれていた。まるで、50年間のキャリアの中で、それ以外は何もしていないかのように。僕も、同じような屈辱を伴う死を迎えることになるだろうね。

実際のところ、僕が“Alison”を最初に書いたのは50年も前のことだけど、今でも誰かがその曲を演奏しているとしたら......。知られている曲を僕が作り始めたのは何年だったか考えてみてほしい。1975年からある曲もある。50年前にさかのぼって、70年代半ばに演奏していた曲を挙げてごらん。もしその曲が長生きしているなら、それはスタンダードな曲として認められているということだよね。だから、他の人が好きかどうかは別にして、スタンダードの仲間入りをした曲がいくつかあると思う。

意識的にそう考えているわけではないけれど、これは歴史的な事実だ。奇妙なことに、僕の曲は他の人が演奏することはほとんどない。僕が作曲に関わった曲の中で、他のアーティストに最も広く演奏されているのは“The Juliet Letters”。“Pump It Up”以外では、演奏している人はそれほど多くない。ほとんどの人は演奏せずに、自分たちのアレンジでそれをほのめかしているだけだ。オリヴィア・ロドリゴのプロデューサーが明らかにそうしたようにね。

僕はそれを理由に彼らを法的に訴える理由はないと思っている。それは馬鹿げている。音楽は共有言語なんだ。他の人たちは、そのアルバムの曲については明らかに異なる感想を抱いていた。でも、引用がなければバッハもモーツァルトも存在しない。ソニー・ロリンズも存在しないだろう。だから、そんなことを心配し始めるわけにはいかないんだよ」