なぜヘヴィメタルではいつも「悪魔」が姿を現すのか。ヘヴィメタルの悪魔表象について、政治や宗教観といった観点から考察する書籍『ロックと悪魔』が春秋社から11月20日ごろ発売。ポピュラー音楽の範疇を飛び越え、宗教史、思想、さらには政治・社会にいたる広範な視点からロックを語る一冊。
■『ロックと悪魔』
黒木 朋興 著
出版年月日 2024/11/15
ISBN 9784393932391
Cコード 0073
判型・ページ数 4-6・308ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
<内容>
ブラック・サバス、スレイヤー、ヴェノム、メタリカ、聖飢魔II・・・・・・なぜヘヴィ・メタルではいつも「悪魔」が姿を現すのか――ヘヴィ・メタルが誕生し発展した主な地域がプロテスタント圏であることに着目し、カトリックとプロテスタントの違いという観点からキリスト教の文化的特徴について解説する。ポピュラー音楽の範疇を飛び越え、宗教史、思想、さらには政治・社会にいたる広範な視点から「ロック」を語る、前代未聞の一冊。
<目次>
はじめに
ハロウィンとプロテスタント
悪魔、あるいは悪とは何か?
西洋の悪魔、日本の妖怪
序 章
誰がヘヴィ・メタルを始めたのか?
音楽と悪魔
悪魔と反抗
日本人にとっての悪魔
第1章 ヘヴィ・メタルと悪魔 Black Sabbath
1 Black Sabbath――現前する悪魔
2 悪魔とは何か?
旧約聖書の悪魔――サタンについて
堕天使ルシファー――旧約聖書から新約聖書へ
コラム① 新約聖書の成立とギリシア語
3 悪魔とオカルトと怪奇と――ヘヴィ・メタルと前衛ロック
チェンバーロック――大陸ヨーロッパの前衛
ヘヴィ・メタルのパワーコードと前衛ロックの不協和音
コラム➁ ホフマンの悪魔小説『砂男』
4 プロテスタントと善悪二元論
ブラック・サバス、悪魔と対峙する個人
宗教改革と書物――プロテスタントにおける悪魔の台頭
トリエント公会議、その後
コラム③ ホフマンの小説『悪魔の霊酒』
第2章 神から悪魔へ
1 ブラック・サバスからオジー・オズボーン
社会悪の弾劾
2 ギターソロの革新――ランディ・ローズ
コラム④ 一七世紀キリスト教叙事詩事情
3 スラッシュ・メタル――サタニズム=悪魔主義の到来
サタニズムの萌芽――イギリスのヴェノムからアメリカのスレイヤーへ
信仰とエンターテインメント
メタル狩りとの闘争
コラム⑤ プロテスタント圏のキリスト教叙事詩
4 魔女狩り
ヨーロッパの魔女狩り――悪魔の道=交易路
二〇世紀アメリカの魔女狩り――ペアレンツ・ミュージク・リソース・センター
テロリズム思想の源流――フォオーレのヨアキム
ヨアキムから現代のカルトへ
へヴィ・メタル、法廷へ
性的誘惑という悪魔
コラム⑥ カトリック文学の悪魔1 先駆者カゾット
第3章 各地への波及 北欧と日本を例として
1 北欧のヘヴィ・メタルと極右運動
北欧神話
ブラック・メタルと極右思想
コラム⑦ カトリック文学の悪魔2 テオフィル・ゴーティエの悪魔小説群
2 悪魔と日本のロック
聖飢魔Ⅱの悪魔
ロックと文学
体制派ロック?
神と神々
無神論とファシズム
コラム⑧ カトリック文学の悪魔3 ゴーティエの『魔眼』
おわりに
あとがき
参考文献
索引
<著者について>
フランス文学者。1969 年埼玉県生まれ。上智大学文学部フランス文学科卒業。フランス国立ル・マン大学文学部にて博士号を取得。現在、慶応義塾大学他非常勤講師。専門はフランス文学。主著に『マラルメと音楽――絶対音楽から象徴主義へ』(水声社、2013年)、「マラルメとクローデル―― 二人のフランス詩人のワーグナー論を巡って」(『クローデルとその時代 』所収、大出敦[編]、水声社、2023 年)、「『悪魔のロベール』の悪魔表象 ――カトリックとプロテスタントの間に」(『《悪魔のロベール》とパリ・オペラ座――19世紀グランド・オペラ研究』所収、澤田肇・佐藤朋之・黒木朋興・ 安川智子・岡田安樹浩[編]、ぎょうせい、2019 年)、『日本語表現力 アカデミック・ライティングのための基礎トレーニング』(共編著、石塚正英・黒木朋興[編]、朝倉書店、2016 年)などがある。