Nuno Bettencourt (Image credit: Neil Lupin/Redferns via Getty Images)
エクストリーム(Extreme)の
ヌーノ・ベッテンコート(Nuno Bettencourt)は公演中、ある曲でいつもとは違うギターを渡される。ギターテックに間違いを指摘するが「いいからこれを使って。後で説明するから」と言われる。いつものギターは用意されていたが、公演直前、照明が落ちて、彼らが演奏を始めるのを待っている間に盗まれていた。これまで聞いた中で最も大胆な機材盗難事件のひとつだった。そして、それから数年後、そのギターは驚くべき形で戻ってきたという。
盗まれたのは、彼のカスタムメイドのWashburn N-8ダブルネック・ギター。ベッテンコートは『Masters of Shred』の新しいインタビューの中でこう話しています。
「自分がアリーナでライヴをしていると想像してみてよ。照明が落ちて、ライヴを始めようとしている。メドレーの曲にやろうとしたとき、突然、ギター・テックが僕のところにやって来て、僕がその曲で使うはずのギターではなくて、いつもの6弦ギターを手渡したんだ。僕は“いや、それはHole Heartedで使うやつだ”と言うと、彼は“いいからこれを使って。あとで説明するから!”と言っていた」
ベッテンコートが振り返っているように、彼のギターテックは代替品を提案する以外の選択肢はありませんでした。ギターテックは、この曲の前に、ダブルネックを取ろうとしましたが、ギターのラックには、そのギターはもうありませんでした。
「ダブルネックは消えていた。照明が落ちて、僕たちが演奏を始めるのを待っている間に盗まれたんだ。彼は“なくなっていた”と言うので、僕は“どういうこと?”と聞くと、彼は“消えたんだ”と答えた」
当初、スタッフに疑いの目が向けられました。盗難の手口があまりにも巧妙で、内部犯行と思われたからです。エクストリームのツアー・マネージャーがすべての部屋を調べ始めましたが、無駄でした。
「どこにもなかった。誰かがIDか何かを使って、そのままドアから出ていき、車かバスか何かにそれを隠したんだ。何年もどこにあるか分からなかった。オリジナルのダブルデッキを失ってしまったんだ」
しかし、話はこれで終わりません。5、6年後、ベッテンコートが自宅にいると、Washburn Guitarsの担当者が電話をかけてきました。
「彼は“シカゴのオフィスで今見ているものを見たら、君は信じられないだろうね。君のオリジナルのダブルネックだ”と言っていた。僕は“どういう意味?”と尋ねると、彼は“それが戻ってきたんだ。手紙も入っていたよ”と言っていた」
驚くべきことに、その手紙には泥棒からの謝罪と説明が書かれていました。
「彼はAA(※アルコール依存症者が断酒を達成し、継続するために自発的に参加する世界的な自助グループ)のような12ステップのプログラム(※依存症、強迫性障害、その他行動問題からの回復のためのガイドライン方針のリスト)を実践している人だった。
(その12ステップのひとつが)“後悔しているものは返さなければなりません”。だから、彼は罪悪感から、またプログラムの一環としてギターを返したんだ。彼は償いをしたかったので、ギターを返した。僕はギターを取り戻したんだ。信じられないよ!」