Kris Kristofferson, photo by Mary Ellen Mark
カントリーミュージックの殿堂入りを果たしたシンガーソングライターであり、ゴールデン・グローブ賞を受賞した俳優でもある
クリス・クリストファーソン(Kris Kristofferson)が死去。広報担当者が「9月28日土曜日、ハワイのマウイ島にある自宅で、家族に囲まれながら安らかに息を引き取りました」と発表。88歳でした。
クリス・クリストファーソンは1936年6月、テキサス州ブラウンズビル生まれ。軍人の家庭に生まれた彼は、父親の任務のため、幼少期には頻繁に引っ越しをしていた。幼い頃から文章を書くことや音楽の才能を発揮していた。1950年代にはアトランティック誌にエッセイが掲載され、スポーツ・イラストレイテッド誌にも登場した。
1958年、ローズ奨学生として英国のオックスフォード大学に入学。ほぼ同時期にシンガーソングライターとしての活動も試みたが、音楽業界への進出はこの時は成功せず、米国に戻って米国陸軍に入隊した。除隊後の1965年、クリストファーソンはナッシュビルに移り住み、音楽業界での成功を再び目指す。
コロンビア・レコーディング・スタジオで床掃除をしていた時にジョニー・キャッシュにテープを渡し、その後、彼はソングライターとして名を馳せ始める。「Me and Bobby McGee」や「Sunday Morning Coming Down」などのヒット曲は、ジャニス・ジョプリンやジョニー・キャッシュによってレコーディングされた。 また、ウェイロン・ジェニングスやグラディス・ナイトもクリストファーソンの曲をレコーディングした。
クリストファーソンは1970年に初のスタジオアルバム『Kristofferson』を発表し、1971年の『The Silver Tongued Devil and I』でさらに知名度を上げる。
その後もコンスタントにアルバムを発表し続けた一方で、クリストファーソンは映画俳優としてのキャリアもスタートさせる。1970年代には『ラスト・ムービー』『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』などに出演。1976年の『スター誕生』でバーブラ・ストライサンドの相手役を演じ、その演技でゴールデン・グローブ賞を受賞し、注目を集めた。クリストファーソンは2010年代まで俳優として活躍し、『天国の門』や『ブレイド』シリーズ、ティム・バートン監督の『PLANET OF THE APES/猿の惑星』など、数多くの作品に出演した。
クリストファーソンの音楽面でのもう一つの大きな功績は、1985年にいずれもカントリー界の重鎮であるジョニー・キャッシュ、ウェイロン・ジェニングス、ウィリー・ネルソンと「ハイウェイメン」を結成したことに始まる。10年間にわたる活動の中で、彼らは3枚のスタジオアルバム、1985年の『Highwayman』、1990年の『Highwayman 2』、1995年の『The Road Goes on Forever』をリリースし、数えきれないほどのライヴを行った。
クリストファーソンは、ソングライターの殿堂、ナッシュビル・ソングライターの殿堂、カントリーミュージックの殿堂など、いくつかの殿堂入りを果たした。
2016年6月には、生涯で最後にリリースしたスタジオアルバム『The Cedar Creek Sessions』を発表し、2017年のグラミー賞で最優秀アメリカーナ・アルバム賞にノミネートされた。