Ian Gillan (Deep Purple) concert in Germany 2009
ディープ・パープル(Deep Purple)の
イアン・ギラン(Ian Gillan)はかつて、大雨の中で行ったコンサートで、透明のビニールポンチョだけを着た、ほぼ裸でパフォーマンスをし、それをしたことで最悪だった公演が、マネージャーには怒られたが「人生で最高の経験のひとつ」になったと回想。Riff Xの「Metal XS」の新しいインタビューの中で振り返っています。
このコンサートは、2009年にソロアーティストとして、ドイツにある20世紀半ばの巨大な産業機械の野外博物館フェロポリスで行われました。
「ドイツでオーケストラと一緒にソロ・コンサートをやったが、あれは最悪だった。炭鉱施設で、巨大な機械が並んでいた。 まるでSFの背景のような場所で、ドイツではフェロポリスと呼ばれていた。 そこでは時々大きなフェスティバルが開催されていた。
大失敗だった。雨が降っていたのでチケットは売れず、2万人収容できるはずの会場にいたのは200人か300人くらい。プロモーターはステージから遠く離れた場所に客席を設置していた。ステージには屋根もなかった。モニターも照明もなかった。ステージには白い照明が1つあるだけだった。俺のためにキャラバンが1台あったが、オーケストラや(他の)ミュージシャンには何もなかった。雨が降り続いた。ハーフタイムになった。何もかもがひどかった。みんなステージの下に避難して、楽器も濡れていた。俺はキャラバンの中で裸で座っていた。俺のPA(パーソナルアシスタント)が入ってきた。俺の服はびしょ濡れだった。彼女は“外では大金が動いているわよ”と冗談を言っていた。ポンチョ(カッパ)が売れていた。“ほら、あなたために買ってきたのよ”と言っていた。それはナイアガラの滝でボートに乗るときに渡されるような、透明なビニール製のポンチョだった。俺は“後半のステージではこれを着てやるぞ”と言うと彼女は“やってみなさいよ”と言ったので“わかった、やってやる”と答えた。そして俺は、この透明のビニールポンチョだけを身に着け、ステージに裸で出て行った。するとオーケストラのメンバーが立ち上がり、何が起こっているのかを理解した彼らは、演奏を始めた。俺たちは雨や状況を笑い飛ばし、本当に素晴らしい時間を過ごした。観客はみんな席を立ち、それほど多くはなかったが、ステージ前に集まり、突然、俺たちは一つになった。
誰かがそれをカメラで撮影し、その夜のうちにYouTubeにアップされた。真夜中、電話が鳴り始めた。マネージャーから電話がかかってきて“一体何をやっているんだ?”と言われた。すると、今度はディープ・パープルのマネージャーから電話で“一体何をやっているんだ?バンドの評判を台無しにするつもりか?”と言われた。俺は“もし君がそこにいたら、理解していたはずだ”と答えた。
映像は音と映像を同時に撮影していたが、距離の関係で音と映像がずれていた。照明は最悪で、オーケストラは雨のせいで音がすべて狂っていたので、まったくの無意味な不協和音のように聞こえた。
でも、もし君がそこにいたなら、その状況を理解していたはず。そして(俺のPA)サリーが言ったように“イアンは実際にその場を救ったんだ”。もしYouTubeで見ただけなら、最悪の出来事だと思うだろう。でも実際には、俺の人生で最高の経験のひとつだったんだ」
当日の映像・写真