Rory Gallagher & 1963 Gretsch Corvette
ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)の象徴的なギターのひとつ、1963年製グレッチ・コルベットは、ロリーの弟で元マネージャーのドナル・ギャラガーが150ドル(約2万1500円)という格安で手に入れたものでした。しかも、ロリーのためにギターケースを買いに行った際に「抱き合わせ」で購入したものだったという。ドナルがGuitarist誌のインタビューの中で振り返っています。
「このギターは、僕たちが何年にもわたって何度も足を運んだロサンゼルスで偶然見つけたものなんだ。
あの日は午後の数時間だけロサンゼルスに滞在したんだけど、ロリーはギターショップに行きたいと言い出した。たしか名前はValley Soundだったと思うけど、彼はそこの人と知り合いだったので、僕は“わかった、ロリー、行こう”と言った。
そこの駐車場が狭くて最悪だった。彼をそこで降ろすと、彼は“欲しいものがあるかもしれない。すぐ戻るよ”と言って、彼は店に入っていった。僕は“車にいるよ”と彼に言った。本来はやってはいけないことなので係員に気づかれないようにと期待しながら、駐車メーターに25セント硬貨を入れ続けた。でも、だんだん、とても退屈になってきたんだ。
質屋の前に駐車していることに気づいて、“予備のギターケースとかないかな”と思った。ロリーがたくさんのギターを集めていたんだけど、どれもちゃんとしたケースがなかった。オリジナルのケースが紛失していたり、ツアーに持っていけなかったこともあった。
それで僕は“5分くらいは時間をつぶせるかな”と思って、店に入って“ギターケースありませんか?”と聞いたんだ。そしたら店員が“ギターを買わないの?”と言ったので、僕は“いや、そんなお金ないよ”と答えた。貧乏をアピールしているような感じだった。
良さそうなケースがあったんだけど、店員は“そのケースが欲しいなら、このギターを買わなきゃダメだ”と言ったんだ。それで、そのケースを見たら(中に入っていたのは)グレッチ・コルベットだった。それで“じゃあ、いくらで売ってくれるの?”と聞くと、店員は“500ドルだ”と言った。“それは”と思ったけど、そのギターケースをとても気に入っていたので、それで最終的には150ドルまで値切ったんだ。
僕はそれを車のトランクに入れて、ロリーを待った。ロリーはやがて来て、何も見つからなかったことにがっかりした様子だったので、僕は“ロリー、見てほしいものがあるんだ。君を悩ますことになるかもしれないけど、ギターがあったんだよ。実際にはギターよりもケースの方がずっと良いと思うんだけど”と言った。
彼は“どこの?”と言ったので、僕は“グレッチだよ”と答えた。すると彼は“グレッチ?”と言ったので、僕が車のトランクを開けると、彼はそれを見て、トランクを閉めて、こう言ったんだ。“彼らが何を売ったか気づく前に、ここを出よう”とね(笑)」