HOME > ニュース >

自分が在籍時に書いたヒット曲をその頃とは何も関係のない人たちがそのバンド名で演奏しているのに憤慨した音楽家が異例の措置を取ったゲス・フーの名義論争が決着

2024/09/05 12:52掲載(Last Update:2024/09/06 13:09)
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Burton Cummings - Michael Ochs Archives, Getty Images
Burton Cummings - Michael Ochs Archives, Getty Images
自分が過去に在籍した時に書いたヒット曲を、その頃とは何も関係のないメンバーがそのバンド名義で演奏していることに憤慨したミュージシャンが、自分の収入は無くなるが、そのヒット曲をライヴで演奏することを事実上不可能にするという非常に思い切った法的措置を取った、ゲス・フー(The Guess Who)のバンド名を巡る論争。ついに決着しました。この“諸刃の剣”的な異例の措置は効果絶大だったようです。

2023年10月、ゲス・フーのクラシック・ラインナップ時代のメンバーであるランディ・バックマン(Randy Bachman)バートン・カミングス(Burton Cummings)は、当時ツアーでゲス・フー名義を使用していたバンドに対して訴訟を起こしました。2人はゲス・フー名義を使用しているバンドを“バンドの名前を使ってツアーやレコーディングをしている雇われミュージシャンのカヴァー・バンド”と呼び、また、2人がまだバンドで演奏しているかのようにファンを騙していると主張。2人は2,000万ドル以上の損害賠償を求めてました。

その後、カミングスはさらに一歩踏み込み、自分が書いたヒット曲の演奏権を停止しました。これにより、自身はもちろん、ゲス・フー名義を使用しているバンドも含め、誰もこれら楽曲を演奏することはできなくなりました。しかし、カミングスはこれにより、コンサート、テレビ、映画、ラジオ番組からのロイヤリティの支払いも停止しました。この“諸刃の剣”的な措置は前例のないものでしたが、とても効果的なものでした。

カミングスは米ローリングストーン誌にこう話しています。

「苦しかったが、あの偽バンドに自分たちの歴史を乗っ取らせないためなら、いつまでもやっていただろう。彼らはストリーミングサイトを乗っ取り、俺とランディの昔の写真を使っていた。そのことを考えると腹が立つが、もう終わったことだ。苦痛を伴う成功だよ。弁護士費用も多くかかったし、音楽出版の収入もかなりあきらめたが、最終的にこの恐ろしい戦いに勝つことができたんだ」

今回の和解の詳細は公表されていませんが、カミングスとバックマンは、現在、商標権の共有が、元バンドメイトのギャリー・ピーターソンとジム・ケイルとの間で解決されたことを認めています。

カミングスはこう話しています。

「もしゲス・フーを名乗るグループがいるとすれば、それは曲を書いたリードシンガーとリフを作ったギタリストがいるはずだ。そう、バックマンとカミングスが参加することになるはずだ。“もし”と言ったのは、まだわからないから。ランディはたくさんの仕事の予約があるし、俺はソロのライヴもある。わかっているのは、偽物のゲス・フーがもう存在しないので、ランディと俺は幸せだということだ」

今回の和解までゲス・フーを名乗っていたグループがどうなるのかは不明です。彼らのFacebookページは消えており、Xのバンドの公式アカウントは、この和解に関する報道のスクリーンショットとリンク、そして最新アルバム『Plein D'Amour』(2023年)の宣伝用に投稿された古い記事を除いて、すべてのコンテンツが削除されています。