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ストロベリー・スウィッチブレイド 「ふたりのイエスタディ」は核戦争についての曲/坂本龍一がアルバムプロデュースに興味を示していた

2024/08/21 21:12掲載
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Strawberry Switchblade / Strawberry Switchblade
Strawberry Switchblade / Strawberry Switchblade
「ふたりのイエスタディ(原題:Since Yesterday)」等で知られるストロベリー・スウィッチブレイド(Strawberry Switchblade)をはじめ、スコットランドは魅力的なガールズ・バンドを輩出しましたが、なぜ成功を持続させることができなかったのか? スコットランドのガール・バンドの知られざる物語を描くドキュメンタリー映画『Since Yesterday: The Untold Story of Scotland’s Girl Bands』が完成。8月21日に<エディンバラ国際映画祭>でプレミア上映され、10月18日よりスコットランドで一般公開されます。

映画公開にあわせ、英ガーディアン紙ではスコットランドのガール・バンドを特集。ストロベリー・スウィッチブレイドのメンバーだったローズ・マクドウォール(Rose McDowall)のインタビューも掲載しています。

映画のタイトルにもなっている1984年のヒット曲「ふたりのイエスタデイ」は英国のシングルチャートで21週間ランクインしました。この曲は、きらめくシンセサイザーと甘いの歌詞で、ほろ苦いラブソングと誤解されることも多いですが、マクドウォールは、その考えを軽く笑って否定しています。

「あの曲は核戦争について歌っているのよ!私は子供を産んでいたから、戦争が怖かったの。でも、それが私たちの脳の仕組みなの。きれいなものを愛すると同時に、暗いものを愛することができるよ」

曲が誤解されたように、水玉模様やヘアリボン、ロバート・スミスが赤面したというメイクなど、2人の鮮やかな美学はメディアやレコード会社から批判を招きました。「ストロベリー・タルト(Strawberry Tarts)」という見出しの記事もありましたし、マクドウォール曰く「私たちを手なずける」ためのワーナーとのミーティングまであったという。マクドウォールとジル・ブライソンの2人はプレッシャーを感じていました。

マクドウォールは英TV番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』に出演するためにグラスゴー郊外をリムジンで移動したときの経験を「私たちは、何もかもが異質な場所に放り込まれたようなものでした。現実感がなかった」と振り返っています。

マクドウォールによると、ワーナーは自分たちをバングルスやバナナラマのような型にはめようとしていました。マクドウォールは「自分はパティ・スミスになりたかった」と語っています。坂本龍一は彼女たちのセカンド・アルバムのプロデュースに興味を示していたという。しかし、レコード会社からのプレッシャーと精神的な苦悩が重なり、デビューアルバムをリリースしてからわずか1年後にストロベリー・スウィッチブレイドは解散しました。

ストロベリー・スウィッチブレイドのストーリーは、成功するためにロンドンに移り住み、応援してくれていた地元のシーンから切り離されなければならなかったスコットランドのガールズ・バンドのよくあるパターンに当てはまるという。

本作の監督である、ミュージシャンであり映画製作者でもあるカーラ・イーストンは、他にもたくさんのバンドが「契約を打ち切られたり、マネージメントを受けられなかったり、ギャラを支払ってもらえなかったりしました」と指摘。

エジンバラ出身で、ビートルズのツアーに参加し、ウェンブリー・スタジアムで演奏した初のガールズバンドであったマッキンリーズ(the McKinleys)は絶頂期にはポテトチップスを買うのもやっとだったとイーストンは同じく指摘し、「他のバンドは、サウンドや見た目を変えなければならなかった。妊娠したりするのではないかとレコード会社に恐れられたりしました」とも付け加えています。