キング・クリムゾン(King Crimson)等で知られる
トニー・レヴィン(Tony Levin)はかつて、
アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)、
テリー・ボジオ(Terry Bozzio)、
パット・マステロット(Pat Mastelotto)と一緒にHoBoLeMaという即興バンドでも演奏していました。公演は常に録音していたそうですが、ライヴ・アルバムのリリースは実現していません。なぜか? レヴィンが米Premier Guitar誌の新しいインタビューの中で理由を語っています。またエイドリアン・ブリュー、スティーヴ・ヴァイ、トゥールのダニー・ケアリーと組んだ、80年代のキング・クリムゾンを演奏する新しいバンド、
BEATについても語っています。
Q:アラン・ホールズワースとは、テリー・ボジオやパット・マステロットと一緒にHoBoLeMaという即興バンドでも演奏していましたね。そのバンドはレコーディングしたのですか?
「毎晩レコーディングしたよ。そのバンドは結成して最初のライヴの最初の一音から素晴らしかった。彼は他の誰とも違う、素晴らしい即興演奏者だった。僕たちはそのすべてを気に入っていたけど、アランは違った。彼は僕たちのことをとてもよく思ってくれて、とても敬意を払ってくれたけど、自分の演奏はどれも気に入らなかった。それは、彼が持って生まれてきたものだった。何度かツアーをやったんだけど、ほとんどすべての公演が終わった後、テリーはとても熱心に“よしやれた。録音もできた。これは素晴らしいものになる。リリースできないかい?これはアルバムだよ”と言っていたんだけど、アランは“いやだ。自分の演奏が嫌いなんだ”というようなことを言っていた。だからアルバムを出すことはなかったんだ。でも、彼と一緒に演奏できて光栄だよ。とても刺激になった」
Q:あなたは今、80年代のキング・クリムゾンの楽曲を、エイドリアン・ブリューとスティーヴ・ヴァイという2人のギタリストと共に、BEATツアーで再訪しようとしています。これにはトゥールのドラマー、ダニー・ケアリーも参加します。本当にすごい。
「今のところ、みんなで集まって話し合いをしたり、エイドリアンとスティーヴは一緒になってギターについて話し合ったりしていた。やるべきことはたくさんあるし、ロバート・フリップはそこにいないから、スティーヴはロバートがやったことを演奏するか、自分らしく変えるしかない。本当に、本当に特別なプレイヤーたちと一緒に仕事をしていると、自分もレベルアップしなければならないし、80年代の演奏に後戻りしないようにしなければならないというプレッシャーを感じる。
率直に言って、聴いてみたところ、スティックのパートのいくつかはとても難しい。自分が一体何をやっていたのか、それを学ぶだけでも少し苦労しそうだよ! でも、大丈夫。スティックのパートは難しいけど、そこにまったく違う拍子のヴォーカルが加わる。これが本当に厄介なんだ。
『Discipline』のために作った音楽はとても気に入っている。エイドリアン、ロバート、ビル(ブルーフォード)から音楽的にインスピレーションを受けたことは素晴らしいことだったし、彼らは皆、僕の演奏をある程度変えてくれた。1996年にバンドに参加したパット・マステロットとは、おそらく他の誰よりも多くのステージを一緒に演奏しただろうね。
本当に特別なプレイヤーたちから音楽的なインスピレーションを受けるために僕はここにいるのであり、その意味でキング・クリムゾンは僕にとって信じられないような経験だった。2021年の日本での最後のツアーは、そのバンド形態、ひょっとしたらキング・クリムゾンのどの形態においても最後になるかもしれないと知っていたので、複雑な気持ちだった。ライヴの回数を数えながら、何度も演奏してきたこれらの曲もこれで最後の演奏になるんだと思ったよ。
長年にわたってバンドに在籍し、僕にインスピレーションを与えてくれたベーシストたちのスピリットを感じながら、象徴的なパートを演奏し、しかもそれを自分のものにしようという並々ならぬ挑戦をさせてもらった。クラシックな楽曲を演奏し始めたとき、僕はそれを変えたくはなかったが、変える必要があった。それは、単に自分のパートを本当に良いものにしようとするのとはまた違った種類の挑戦だったんだ」