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英国の音楽ファンは毎月いくら音楽に費やしているのか?10万円近く使う人もいれば、「音楽を買うという発想は子供たちには忌み嫌われている」と嘆く親も

2024/07/31 10:51掲載
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United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland: UK
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英国の音楽ファンは毎月、どれだけの金額を音楽に費やしているのか? 最近の生活費の高騰の影響はあるのか? ストリーミング時代になって変化したのか? 英ガーディアン紙は読者から寄せられた「自分の音楽支出について」の投稿を特集しています。

■デイヴ・セイヤー(63歳) 取引基準局の元・監督官 

「月に8枚ほどCDを買う。ジャズ、ブルース、ロック、ソウル、ワールド、レゲエ、それにクラシックも。それで50ポンドくらいかな。

チケットは1枚25ポンドくらいで、月に半ダース(6回)のライヴに行く。たまに終日のイベントに行くこともあって、その場合はチケットが40ポンドくらいになる。今年はチェルトナムのジャズフェスティバルに行ったんだけど、チケットと宿泊費で300ポンド。交通費も150ポンドくらい。

たまに音楽に関する本を買うけど、たいていは伝記なので、これも20ポンド。Tシャツは、デザインが気に入ったか、ジャクソン・ブラウンのツアーでない限り、以前ほどは買わない。それから雑誌も月に10ポンド。

ストリーミングにはお金をかけない。物理的な製品が好きなので、車の中でも、キッチンでも、寝室でもCDを再生できるのが好きなんだ。

合計で月400ポンド(約8万円)くらいになりそう。何かの間違いではないか!」

■ロブ・ジュイット(46歳) メディア・コミュニケーションの研究者

「私は子育てやその他の責任から、音楽への出費を控えている。でも、子供たちは音楽に夢中で、長男はギター、キーボード、トランペットを演奏するので、息子のための個人指導や機材にかなりの額を費やしている。子供たちはまだ10代なので、実際には何も支払っていないが、ストリーミング・サービスで欲しいものは何でも手に入れている。音楽を買うという発想は彼らには忌み嫌われている。ライヴやフェスには連れて行くけど、彼らはゲームの方が好きなんだ。

私は家族のためにSpotifyに月19.99ポンド使っている。たまにライヴのチケット(今月はテイラー・スウィフトが3回あるので高い)。English TeacherやIdlesのような小規模なライヴを含めると、月平均50ポンドになるかな。

フェスのチケットもたまに買う。今年はLindisfarne。レコードはだいたい1ヶ月おきに40ポンド散財をする。月の平均は約85ポンド(約1万7千円)くらいかな。2010年に、私が音楽や関連する活動(クラブ、飲み物、音楽を使ったビデオゲームのDLCなど)に費やした平均額を調べたところ、月145ポンド(約3万円)に近かった」

■ドノヴァン(17歳)

「月に1回はレコードかバンドのTシャツを買い、だいたい数週間に1回は地元のライヴに行くので、合計40ポンドくらいかな。最近買ったのはCharli xcxの『Brat』のレコードとSports TeamのTシャツとカセット。Spotifyもやっているから、毎月50ポンド(約1万円)近くになる。インディーズバンドがアートを作り続けられるようにサポートしたい。

最近では、Koko、Troxy、Electric Ballroomのようなロンドンの小さな会場に行くことが多い。かつてはもっと手頃な値段(10~15ポンド程度)だったけど、今ではAlexandra PalaceやWembley Arenaのような大きな会場と比べてもそれほど安くはない。友人たちと同じくらいお金を使っている。バイトで稼いだお金のほとんどは、ライヴやレコードに使っているよ」

■パトリック・レイノルズ(25歳)公務員

「Spotify以外では、私の音楽への出費はとても少ない。年にレコードを数枚、音楽フェスティバルを1回、ライヴに数回というのが普通だ。パンデミック以来、支出は激減した。好きなアーティストを15~30ポンドで観ることができた頃は、2週間に1回はヒップホップのライヴに行っていた。最近では、O2アリーナがイギリスのヒップホップ・ツアーを独占しているため、最低でも50ポンドはする。

レコードの生産はサプライチェーンの問題とインフレの影響を受けているため、以前は18ポンドで買えたレコードが、シングルLPかダブルLPかにかかわらず、最低でも30ポンドするのが普通だ。中古市場も過大評価されており、良い取引を見つけるのは難しい。

ありがたいことに、インディペンデントのヒップホップアーティストたちは、まだロンドンに残っているインディペンデントな会場で演奏しており、より良い価格のチケットを提供している。レコード会社と契約しているアーティストは、それに見合うだけのファンベースがあるかどうかにかかわらず、O2アリーナやスタジアムに押し込まれるのが一般的だ。チケットの値段は180ポンドまで上がることがある。小さな会場で2晩公演をやるよりも、1回の公演ではるかに大きな利益を得ることができるからね」

■サシャ・ウォード クリエイティブ・ディレクター

「毎月10ポンドのストリーミング・プラットフォームへの加入を除けば、私は月に1枚レコード・アルバムを買う程度だ。私は長い間、定額制に抵抗があった。これほど多くの音楽を自由に聴くことができるのは、体験やアーティストの技巧を軽んじているように思え、なんとなく正しくないような気がしたので。

でも、その後、新しい携帯電話で無料トライアルを受け、今ではこれなしの生活は考えられない。その埋め合わせに、もともと海外移住で失われていたレコード・コレクションを再開している。私にとって本当に特別な作品を物理的に手にすることで、それがネット上の何百万という作品の中で希薄になるのを防ぐことができる。

とはいえ、レコードは驚くほど高価で、私が10代の頃はLP盤が7ポンドほどだった。今は月に1枚か2枚、1枚あたり30ポンドする。ライヴやコンサートに行くのは年に2回ほどで、合わせて100ポンド(約2万円)ほどかな」

■マリオン・WG・フェアウェザー ビジネス英語トレーナー兼翻訳者

「毎月コンサートに行くわけではないが、エディンバラ・フェスティバルの期間中は、コンサートだけで200ポンド以上使うこともある。ロックやポップスのライヴ・コンサートに行けば、チケット1枚で75~100ポンドになる。今のところ、クラシックのコンサートに行くのは年に2、3回だけ。

CDやポップスのDVDも時々買う。ストリーミングの前はもっと買っていた。父からは買いすぎないようにとよく注意されていた。今月はナンシー・シナトラの『How Does That Grab You』というCDを1枚買っただけ。ネットで聴くようになってから、ポップスやロックはあまり聴かなくなった。こういう聴き方は自分には合わないと思ったから。好きなアーティストの新譜が出ると、ついつい買ってしまう。

今年は今のところ、音楽DVDを1枚(ドキュメンタリー『ティナ』)と、ミュージカルのDVDを2枚買った。HMVのショップがリニューアルオープンしたことで、ミュージカルDVDへの興味が再燃した。

最近、グッズを買った。ダイアナ・ロスのTシャツ。昨年、彼女のグラストンベリー公演をネットで見て、フェイスブックで彼女のラジオ・シティ・コンサートにバーチャル参加した後に。でも、アメリカからの配送だったので、とんでもなく高かった。もっとグッズを買いたい気もするけど、送料がかかるから気が進まない。

今のところ、生活費が高いので購入を制限している。CDはたくさん持っているので、これ以上は必要ない。もっとコンサートに行きたいけど、高いのよね」