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科学者はカラオケを使って「赤面」の原因を探る実験を行いました。突然難しい曲を歌うように言われた被験者。歌唱後に自分の歌唱映像とプロシンガーの映像を見てその反応を調べるという羞恥実験でした。研究の結果、赤面は、他人からどう見られているかを考えることによって引き起こされるものではなく、人目にさらされたことに対する自然発生的な感情反応であることが明らかになったという。
アムステルダム大学の研究者が英国王立協会の学術雑誌『英国王立協会紀要B』にて研究結果を発表しています。同大学の児童発達教育研究所の発達心理学者で、この研究の筆頭著者であるMilica Nikolićは、今回の研究は「赤面するきっかけは一体何なのか、他人からどう思われるかを考えることなのか、それとも、人目にさらされたことに対する自動的で自発的な反応なのか、ということに興味を持った」ことから始まったという。
研究者たちは、赤面の原因を調べるために、16歳から20歳の女性グループにカメラの前でカラオケを歌ってもらい、その後、そのパフォーマンスの映像を見てもらいました。
被験者となったのは、アムステルダムとその近郊から集められた10代後半の女性40人で、この年齢は「社会的評価や自己認識に敏感になる」年齢だという。この研究は女性だけに焦点を当てるつもりはありませんでしたが、結果的にボランティアは全員女性でした。参加者にはカラオケを歌うことは事前に告げられませんでした。
被験者はまず、ディズニー『アナと雪の女王』の「Let It Go」やマライア・キャリーの「All I Want For Christmas Is You」など、恥ずかしさ(つまり赤面する可能性)を最大限に引き出すために意図的に選ばれた4曲を歌う様子を撮影しました。参加者はその後、自分自身が歌っているビデオと、同じくらいの歌唱力を持つ別の参加者だと知らされたが実際はプロシンガーのビデオを見ました。
研究チームは、被験者を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)スキャナーに入れ、脳活動を測定しながら赤面を調べました。ビデオを見ている間、被験者は脳の血流の変化を検出するために脳の活動を記録しました。また、左頬の温度も継続的に測定し、赤面度を評価しました。
研究者たちの間には、赤面の原因について2つの考えがあるという。1つは、他人からどう見られているかを考えることによって赤面が引き起こされ、それによってメンタライジングに関わる脳領域が活性化されるというもの。もう1つは、人目にさらされたことなど感情的興奮や社会的状況への注意といった、より基本的なプロセスによって赤面が引き起こされるというものです。
研究結果によると、赤面は、他の人が歌っているビデオを見るのに比べ、自分が歌っているのを見る方がより強くなることがわかりました。
研究の結果、メンタライジングに関与する脳領域は活性化しませんでした。その代わりに、参加者が自分の演技を見て赤面すると、感情に関与する脳の領域が活性化することが分かりました。
このことは、赤面は、人目にさらされたから生じる自然発生的な感情反応であり、他人からどう見られているかを考えるなど知的な処理は必要としないことを示唆している、と研究チームは述べています。
研究者は、この研究には女性しか参加していないため、男性が同じような反応を示すかどうかはわからないとも述べています。成人を対象とした他の研究では、女性の方が恥ずかしがりやすく、赤面しやすいと報告されているという。