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ジョン・レノン『Mind Games』について息子のショーン・レノンが熱く語る 「僕は傑作だと思っている」

2024/07/12 21:13掲載
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John Lennon / Mind Games
John Lennon / Mind Games
ジョン・レノン(John Lennon)『Mind Games』について息子のショーン・レノン(Sean Ono Lennon)が熱く語る。ショーンは、英Uncut誌のインタビューの中で、同作のアルティメイト・コレクションの発売にあわせて、こう語っています。

「『Mind Games』は、父のアルバムの中でもずっとお気に入りの1枚だった。僕はこのアルバムが発売されたとき、(このアルバムが)ある程度見過ごされていたことに気づかずに聴いて育った。だから、僕にとっては、このアルバムは常に父の最高のアルバムのひとつなんだ。タイトル・トラックは、ジョン・レノンの曲の中でもトップクラスに好きな曲。絶対的な傑作だよ。

僕には『Sometime In New York City』(このアルバムは一部のファンには評価されにくかった)での生々しいロックンロール活動の時期を経て、より洗練されたアルバムを作ろうと懸命に努力していたように聴こえる。フィル・スペクターの助けを借りずに自分でプロデュースし、信じられないような仕事をしたという事実は、母との別居の真っ只中にいた彼にとっては大変な時期だったに違いない。父は本当に全力を尽くし、素晴らしい仕事をしたと思う。

その音楽は、商業的には世の中の流れに合っていなかったかもしれないけど、曲はそれ自体で存在感があり、長い年月を経て、多くのファンにとって彼の最高の作品のいくつかを代表するようになった。僕はミックスの監督として素晴らしい時間を過ごし、全体を通して音楽性の高さに本当に感銘を受けた。

バンドは格別で、(おそらく『Sometime In New York City』の時とは違って)ミュージシャンたちが本当に常に最善を尽くしていて、それぞれの曲にできる限りの音楽性と美しさをもたらそうと努力しているのが伝わってくる 。父が自らアルバム・カヴァーを制作したことは有名だ。母を山に見立てた素晴らしいコラージュで、父が遠ざかるのを見守っている。この視覚的に印象的なイメージは、その時代と彼らが個人的に経験していたことを物語っているんだ。

父のこれまでのソロ・アルバムとは異なり、『Mind Games』は、生々しく個人的で、彼の政治哲学を語る一方で、必要な楽しさとユーモアを随所に盛り込みながら、美しいバランスを保っていると思う。このアルバムでは、これらの要素がバランスよく化学反応を起こし、非常に感動的でありながら、非常に楽しい音楽の旅になっていると思う。

このアルバムの最大の強みは、父のプロデュースと歌唱力だ。彼は本当に最高の状態だ。彼の最高のヴォーカル・パフォーマンスのいくつかはこのアルバムに収録されている。特に“Mind Games”のアウトロでは、ビートルズで歌ったどんな曲にも負けない、心にしみる感動的なファルセットで“love”という言葉を歌い上げている。

当時、このアルバムは見過ごされているという感覚があった。理由はどうあれ、そういうことはよくあることだと思う。米ローリング・ストーン誌はレッド・ツェッペリンが好きではなかった。ビートルズはグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞することはなかった。時々、世の中には、特定の音楽にチャンスを与える準備ができていなかったり、理解する準備ができていなかったりすることがある。それは音楽の質の問題ではなく、世界の現状を表しているのだと思う。僕の両親は、『Two Virgins』と『Sometime In New York CIty』の間で多くの人を混乱させた。彼らは人々を少し混乱させ、率直に言って自分たちも混乱させていた。怪しげな人物(ジェリー・ルービン)に絡まれ、FBIに監視されたりして、彼らが関係していたいわゆる革命家の多くが、実際には最高の人々ではなかったことに気づいた。奇妙な時代だったし、音楽とそれに対する受け止め方は、起こっていた変化と結びついていたと思う。『Mind Games』は明らかに父が軌道に戻ってきた作品だと思う。非常に実験的で不安定な時期で、クリエイティブな面では非常に実りも多かったけど、時には制御不能に陥ったこともあった。それに才能ある新世代の若いアーティストたちがチャートを席巻していた、非常に競争の激しい時代でもあった。では『Mind Games』はどうだろう? 僕の見解では、それほど(時代と)結びついていない。何らかの理由で、人々はこのアルバムに適した気分ではなかった。でも、振り返って聴いてみると、誰もがこのアルバムが素晴らしいものだとわかると思う。僕は傑作だと思っている」