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ヒューイ・ルイス 「最も戦略的に録音された曲」「正当な評価を得られなかった曲」「再評価が必要なアルバム」を語る

2024/07/09 20:53掲載
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Huey Lewis
Huey Lewis
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース(Huey Lewis & The News)のヒューイ・ルイスは、Vultureの新しいインタビューの中で、「最も戦略的に録音された曲」「正当な評価を得られなかった曲」「再評価が必要なアルバム」について語っています。

■最も戦略的に録音された曲

「『Sports』に収録されている曲のどれかだろう。1982年にレコーディングされ、翌年にリリースされた。当時はインターネットもなかった。成功への唯一の道は、ラジオで自分の曲を流すことだった。自分の曲を演奏して生計を立てようと思ったら、ヒット・シングルを出さなければならなかった。僕たちは『Picture This』と『Sports』を自分たちでプロデュースしたのは、自分たちが納得できる商業的な選択をするのに十分な知識があったから。『Sports』に収録されている曲はすべて、ラジオをターゲットにしている。興味深いことに、アルバムの各曲には異なるスタイルがある。ロック調の曲もあれば、ブルージーな曲やカントリー調の曲もある。それはヒット・シングルが必要だと思っていたからなんだ。5曲も出るとは思わなかったけど、そう、それはとても戦略的にやったことなんだ。でも、『Sports』以降のアルバムでは、それを放棄した。アルバムを作る方法はたくさんあるけど、僕たちはもはや商業的な理由で何かをすることはもうなかった。戦略的であることの意味はさまざまだよ。『Fore!』や『Small World』も戦略的だと思うけど、商業的な理由ではない」

■正当な評価を得られなかった曲

「僕たちには、評価された曲がたくさんあったので、そうでない曲について文句を言うのはかなり難しい。とはいえ、『Four Chords & Several Years Ago』というアルバム(1994年)の中にJ.J.ジャクソンのカヴァーで“But It's Alright”という曲がある。あれはヒットするはずだったんだけど、レコード会社と口論になってダメになった。話せば長くなるんだけど、レコード会社と揉めたんだ。彼らは僕たちにプロモーションをやれと言ったが、僕たちはすでにプロモーションをやっていた。彼らと僕のマネージャーは大喧嘩になった。他にも『Small Word』には2曲ほど、ずっと好きだった曲が埋もれている。ひとつは“World to Me”、もうひとつは“Walking With the Kid”。どちらも誰も聴いたことがないだろうね」

■再評価が必要なアルバム

「(1986年アルバム)『Fore!』。 信頼するプロデューサー兼ミキサーのボブ・クリアマウンテンがこのアルバムに参加できなかったのは残念だった。彼は『Tunnel of Love』のためにブルース・スプリングスティーンと一緒に仕事をすることを決めたんだけど、1日6時間しか働かなかったにもかかわらず、ブルースは彼を契約下に置いていたから、そのアルバムが完成するまでボブは他の仕事ができなかったんだ。だから、自分たちでアルバムをミックスしなければならなかった。自分たちでミックスしたんだけど、ボブと一緒にやったときほどいい出来にはならなかった。実際、ボブはアトモス・ミックスでリミックスしたばかりで、素晴らしいものになるはず。僕は耳が悪いから聴こえないけど、バンドメンバーは素晴らしいと言っているよ。

先ほど、『Sports』の後は商業的な理由で何かをすることはもうなかったと言ったが、それは正確には正しくないことに気づいた。『Fore!』は『Sports』に続くアルバムだったけど、その間にリリースした“The Power of Love”が大ヒットした。レーベルからは、すぐにでも新アルバムをリリースするように言われた。“200万枚を出荷するから、できるだけ早く『Fore!』を出せ”とか、そんな感じのことを言っていた。クレイジーだったよ。残念なことに、あのアルバムは急がなければならないというプレッシャーがあった。今思えば、もちろんボブにミックスしてもらって、もう少し時間をかけてもよかったと思う。もっと時間があれば、『Fore!』に対してあらゆる面で違ったアプローチをしていただろう。僕は自分でアルバムをプロデュースしても決して満足できない。“The Power of Love”はラジオで何度も聴いたけど、まだリミックスしたいと思っているんだ」

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「いろんなことがあったよ。レイ・チャールズがピアノを弾いていて、僕がそれを見ていると、彼が“クインシー、これ覚えてる?”と言って、クインシーは “ああ”と答えていた。そして彼は僕を見て“この曲をレコーディングしたとき、ライオネルは5歳だったんだよ”と言ったんだよ(笑)。僕はブルース・スプリングスティーンと素晴らしいジョーク・セッションもした。彼はとてもジョークが上手で、休憩時間に彼とちょっとした話をするのが楽しみだった。ボブ・ディランにも挨拶できた。素晴らしい夜だったよ」