HOME > ニュース >

ロバート・フリップやジーザス&メリー・チェインを含むソングライターの団体がライヴからのロイヤリティの扱いをめぐって英国の音楽著作権団体を訴える

2024/06/26 12:32掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Robert Fripp
Robert Fripp
キング・クリムゾン(King Crimson)ロバート・フリップ(Robert Fripp)ジーザス&メリー・チェイン(The Jesus And Mary Chain)のリード兄弟を含むソングライターの団体が、ライヴ・パフォーマンスからのロイヤリティの扱いをめぐって、英国の音楽著作権団体PRS for Musicを訴えています。

英ガーディアン紙によると、PRSはすでに成功を収めているスターには優遇措置を行う一方で、小規模なソングライターには高い管理手数料を課していると非難しています。

PRSは、英国でほぼ独占的な地位を占めており、音楽を流す企業(ラジオ局や店舗、ライヴ・イベントなど)とソングライターの仲介役を担っています。企業はライセンス契約を結び、PRSはその収益をソングライターに分配しています。

今回の訴訟の中心となっているのは、ライヴ・ミュージックのライセンスで、ソングライターはチケットの売り上げからロイヤリティを受け取り、PRSはそのロイヤリティの一部を管理手数料として受け取ります。

訴状によると、PRSは管理手数料について、メジャーなソングライターには有利な契約を提示しているが、その一方で小規模なソングライターには高い金額を負担させていると主張しています。

英ガーディアン紙によると、これらのソングライターが、PRSを抜けて、代わりにプロモーター、会場、音楽フェスティバルと直接ライセンス契約を結ぶことを望んだ場合、法外な手数料と煩雑な事務手続きに直面することになるため現実的ではないという。

10人の原告は共同声明で次のように述べています

「ボールは現在、PRS側が握っている。PRSが、作家と音楽出版社に権限を与え、利益をもたらすために必要な改革に建設的に取り組むか、あるいは、これらの必要な変化に抵抗し続け、会員の利益を減らすような政策を支持する訴訟の費用にさらに会員の金を費やして、弁解の余地のないことを守ろうとするか、どちらかである」

フリップは声明で「PRSが会員の最善の利益のために運営されていると確信できるまでには至っていない」と述べています。

英ガーディアン紙によると、英国では、ライヴ・コンサートでのソングライターのロイヤリティは通常、チケット総売上の4.2%(2018年までは3%)を基準としています。PRSは通常、該当するソングライターに支払いを行う前に、そのロイヤリティから23%の管理手数料を差し引くそうで、PRSの差し引き分は1,250ポンドが上限となっているという。

しかし、PRSは、アリーナやスタジアムクラスのアーティストのロイヤリティ管理を行う「Major Live Concert Service(MLCS)」と呼ばれるサービスを用意しており、こちらの契約では、メジャーなソングライターは、1回のライヴで得たロイヤリティからわずか125ポンドの管理手数料を支払うだけでいいとなっているという。

今回の訴訟を主導している、ライヴ関連の権利の直接ライセンスを提供する会社Pace Rights Managementは、PRSの内部文書を見たと主張しています。

それによると、MLCSに参加するメジャーなソングライターは平均0.2%の管理手数料を提示されているが、その一方、“その他の99.9%の人々”は1,250ポンド未満の場合は23%の管理手数料を差し引いているという。つまり、MLCSに加入していない“メジャーではない”ソングライターは、加入しているメジャーなソングライターの115倍の手数料を請求されているとPaceは主張しています。

また、この訴訟では、PRSが、契約していないソングライターが直接ライセンスを取得するのを妨害するためと、意図的に財政的・管理的な障害を設けているとも主張しています。

PRSは英ガーディアン紙に寄せた声明の中でこう説明しています。

「PRS for Musicは、長年にわたり一貫してPaceとの建設的な対話を求め、提起された問題に対する解決策を提案し、実行してきました。私たちは、会員の利益のためにプロセスを簡素化するために非常に努力してきましたが、Paceは一貫してこれに応じず、関与もしなかったため、その結果、コンサートでのPRSメンバーの作品のライヴパフォーマンスに対するロイヤリティが不必要に差し引かれることになりました。また、ライヴハウスやプロモーターにとっても複雑で不確実な状況を生み出しました」