キッス(KISS)の
ジーン・シモンズ(Gene Simmons)は英Classic Rock誌の最新号のインタビューの中で、
AC/DCのライヴを初めて観た時のことを回想。最初はバンド名から「ゲイ・バンドかもしれない」と思ったそうですが、彼らのパフォーマンスのあまりの素晴らしさに「度肝を抜かれた」と明かしています。
シモンズは1977年の夏のある夜、ロサンゼルスの象徴的なクラブ、ウィスキー・ア・ゴー・ゴーでAC/DCと運命的な出会いをしたことを振り返っています。
「AC/DCは聴いたことがなかったので、ゲイ・バンドなのかと思っていた(※当時アメリカでは“AC/DC”という言葉はバイセクシュアルを表すスラングだった)
度肝を抜かれたよ。マイナーコードなんてどこにもない。メジャーコードがガンガン響くんだ! すっかり魅了されてしまった。
ボン・スコットはシャツを脱ぎ捨て、酒を飲んでいる、非常に強い個性を持っていた。まるでホームレスのクレイジーな男がステージに飛び込んできたみたいだった。彼にはロックスターのような輝きやショーマンシップはなかった。ただ、ステージ上で彼の内なる悪魔を無意識のうちに吐き出しているように感じた。
曲が終わって照明が消えても、アンガス(ヤング)は誰も見ていないのに、暗闇の間もチャック・ベリーのようなことをやって大暴れしていた。俺は自分に言い聞かせた。“これは本物だ。こいつらは心の内側でそう感じているからそうしているんだ”とね」
ライヴ後、シモンズはバンドとすぐに連絡を取りました。
「当時はツアーに出ていないときでも7インチのヒールを履いていたので、小柄なアンガスを見下ろしていた。すると彼は“キッスの舌野郎か!”と言ったので、俺は“そうだよ。話があるんだ”と答えたんだ。
外にリムジンがあったので、俺は彼にベン・フランクスという24時間営業のレストランに一緒に行こうと説得した。そこでは、ツアー中のミュージシャンたちが、レインボーで女の子たちを迎えに行く前に食事をしたりたむろしたりしていた。
アンガスは豆とフランクフルトを注文したんだけど、彼は左手でフランクフルトをつまんで、歯がほとんどないため口の片側でかじっていたのを覚えていると。俺はまるで熱狂的なファンのように夢中になってしゃべっていた。“一緒にツアーに行こう!”と言ったんだ」
その言葉通り、シモンズは1977年12月、AC/DCをキッスの『Alive II』ツアーのオープニング・アクトに起用しました。
シモンズは、ポール・スタンリーらと共に化粧をしていたとき、楽屋の壁から響くAC/DCの生のサウンドに感嘆していたことを思い出し、次のように語っています。
「俺たちはいつもこのバンドの話をしていた。3スリーコードで、キック、スネア、キック、スネア、バン! そのシンプルさと素晴らしさに度肝を抜かれた。思い出はどれも楽しい。今でもファンだよ」