ソニー・ミュージック、ユニバーサル・ミュージック・グループ、ワーナー・レコードは、音楽生成AIサービスのSunoとUdioを著作権侵害の疑いで訴えています。ロイターなどの海外メディアによると、この訴訟は音楽生成AIに対し提起された初めての訴訟だという。
全米レコード協会(RIAA)が提訴したもので、SunoとUdioは「ほとんど想像を絶する規模」で、音楽生成AIシステムのトレーニングにレーベルの音源を許可なく使用し著作権を大きく侵害されたと主張しています。
大手レコード3社は、SunoとUdioが音楽を盗用して類似作品を「吐き出している」と主張し、SunoとUdioが著作権で保護された楽曲をトレーニングで使用することを禁止するほか、1曲あたり最高15万ドル(約2400万円)の損害賠償命令を下すようを求めています。
SunoもUdioも、ユーザーはテキストの指示に基づいてオリジナル曲を作ることができ、歌詞、ヴォーカル、インストゥルメンタルの組み合わせた曲が生成されます。特にUdioは、ケンドリック・ラマーとドレイクの確執に関連したパロディ・トラック「BBL Drizzy」を作成するためのツールとして使用され、この曲はバイラルヒットとなっています。
訴状では、SunoとAudioによって生成された曲は、マライア・キャリーの「All I Want For Christmas Is You」、ビーチ・ボーイズの「I Get Around」、ABBAの「Dancing Queen」、テンプテーションズの「My Girl」、グリーン・デイの「American Idiot」などに酷似していると指摘しています。ブルース・スプリングスティーンとマイケル・ジャクソンの声も著作権侵害の例として挙げられています。
AI企業はこれまで、著作権で保護された作品を風刺やニュースなど一定の条件下でライセンスなしに使用することを認めるフェアユースの原則に基づき、こうした素材の使用は合法だと主張してきました。支持者たちは、AIツールによる機械学習を、人間が過去の作品を読んだり、聞いたり、見たりして学習する方法になぞらえてきました。
しかし、マサチューセッツ州とニューヨーク州の連邦裁判所に提出された訴状の中で、レコード会社側は、AI企業は単に楽曲をコピーして金儲けをしているだけだと主張しています。訴状には次のように書かれています。
「ここでの使用は変革とは程遠いものです。AIモデルが著作権で保護された録音物を取り込む機能的目的は、新しい競合する音楽ファイルを吐き出すこと以外にはないのです」
さらにレコード会社側は訴訟の中でこう述べています。
「その動機は露骨に商業的なものであり、著作権保護の核心である本物の芸術性を脅かすものである」