ザ・ストーン・ローゼズの伝説的ライヴ、90年の野外ライヴ全編を撮影した未公開映像発掘

ザ・ストーン・ローゼズ（The Stone Roses）の伝説的ライヴ、1990年5月27日にリヴァプール近郊のスパイク・アイランドで行った野外コンサートの全編を撮影した未公開映像を発掘。これまでこの公演の全編は、映像に収められていなかったと考えられていましたが、英BBCによると、ツアースタッフによって撮影されたビデオテープが発見されました。

マーティン・コーネルが撮影した3時間に及ぶ映像には、準備やサウンドチェックの様子も含まれており、このコンサートの全貌を初めて紹介するドキュメンタリーに使用される予定です。

使用されなくなった化学工場の跡地で行われたこの野外コンサートは、プロによる撮影が行われる予定でしたが、直前に料金面で折り合いがつかなくなり、実現しませんでした。

コーネルはステージを作ったスタッフの一員で、ライヴ当日は仕事が入っていなかったため、自分のビデオカメラで撮影することにしました。

彼の上司は、観客の真ん中にある足場の塔から撮影することを許可しました。地元当局から安全衛生上の問題が指摘されていたため、彼の上司は、問題がないことを証明するのに映像が役立つと考えたという。

コーネルはBBCの取材に応じ「（プロによる撮影が行われず）彼らがカメラを撤去したことも、撮影していないことも知らなかった。僕はただ一人で休日に、上司のために、安全衛生上の情報を得るためにそこにいて働いていたんだ」と説明しています。

コーネルはバンドの全盛期を捉えましたが、少しピントが合っていないこともありました。

「時々それを見て“いいな”って思うよ。何度かピントが合っていないのは気にならないわけじゃない。でも、おそらくかなりきれいに修正できるだろうね。音はいい。みんな（当日のライヴは）音が悪かったと言っている。でも、僕が持っている映像を見れば、かなりいい音に聴こえるはずだよ」

コーネルはライヴの後、テープをしまい込み、そのことをすっかり忘れてしまっていたという。

「ホームビデオとかと一緒にしまい込んだ。後生大事にというわけではなく、箱に入れて、ただ単にしまい込んだんだよ。それから10年後くらいに再びそれを見つけ、これは面白いかもしれない、どこかに持って行けるかと思ったんだ」

彼はザ・ストーン・ローゼズのネットの掲示板でこの映像のことを書き込みましたが、彼を信じなかったファンたちから一蹴されたという。

「僕はコミュニティから完全に嘲笑された。それで興味を失ってしまったんだ」

彼の兄弟のデヴィッドが15年ほど前にYouTubeにいくつかの短いクリップを投稿し、当日の映像を初めて公に公開しました。2人はそれをバンドにも提供しましたが、バンドはリリースすることに興味を示さなかったとのこと。

その後、映画監督のシェーン・メドウズは、2013年にバンドについて制作したドキュメンタリー映画の特典DVDに、コーネルから提供された10分間の映像を収録し、この映像を「このライヴの唯一の現存する映像」だと説明しましたが、実際にはそれ以上のものがあったのです。

現在計画されているドキュメンタリーには、ローゼズのドラマー、レニに捧げるSNSアカウントを運営するフリー・ジャーナリストのマット・ミードも参加しています。

このドキュメンタリーは、インタビュー、300枚の未公開写真、ライヴ前の記者会見の未公開音源など、他の素材とともにこの映像を使用する予定です。ドキュメンタリーには監督兼プロデューサーのポール・クロンプトンも参加しています。

このドキュメンタリー・プロジェクトはまだ資金がなく、初期段階ですが、クロンプトンは『ザ・ビートルズ：Get Back』で使われたような新しい技術を使って、オリジナルの映像を強化したいと考えています。

「プロの30mmフィルムではなし、HDでもない。でも、彼は重要なものをすべてを撮影している。ライヴ全体、サウンドチェック、ステージ作り、ファン、行列などをね。イベントを記録するために必要なすべてを撮影するという点で、彼は本当に良い仕事をしている。AIや最新のテクノロジーを使えば、本当に魅力的な方法で物事を改善することができる。だから、できるだけ早くそれをやりたいんだ」

彼はまた、バンド・メンバーも参加してほしいと考えており、打診をしているという。

なお、この日の写真は、ミードと80s Casualsのデイヴ・ヒューイットソンが『Spike Island Unseen』というタイトルの本にして出版する予定です。

以下は、コーネルの兄弟が15年ほど前にYouTubeに投稿したいくつかの短いクリップ