ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)が1977年にリリースしたライヴ・アルバム『Running on Empty(邦題:孤独なランナー)』は通常のライヴ・アルバムとは趣が異なり、ステージでのパフォーマンスはもちろんのこと、ホテルやバスの中など、ツアーの様々な場所での演奏が収録されており、収録曲もすべて新曲とカヴァー曲で構成されています。
このレコーディングに参加したひとり、リーランド・スカラー(Leland Sklar)と、ドキュメンタリー映画『Immediate Family』の監督デニー・テデスコはUltimate Classic Rock Radioのホスト、マット・ウォードローが行った新しいインタビューの中で、『Running on Empty』について振り返っています。
■リーランド・スカラー
「『Running on Empty』はゲリラ戦のようなものだった。今まで関わったどのプロジェクトとも違っていたからね。ライヴ・アルバムとかはやったことがあったけど、でも、あれは何かが(違っていた)。まず、すべてが新曲だったので、観客は初めて聴く曲ばかりだった。ベストヒットを演奏するようなものではなく、観客を新しい旅に連れて行くようなものだった。セクションはどのライヴでもオープニングを飾ったので、とても楽しかった。ツアー中ずっと全力で演奏できたよ。
ドキュメンタリー映画『Immediate Family』の中ではジャクソン・ブラウン本人が『Running on Empty』について話しています。テデスコは、試写を観たブラウンからこんな連絡があったと話しています。
「ある日突然ジャクソンから電話がかかってきた。彼は“やあ、デニー、ジャクソン・ブラウンだ”と言って“映画は気に入ったけど、ひとつだけ問題がある”と言った。僕は“何?”と聞くと、彼は“僕が『Running on Empty』について話しているとき、“暴走列車(runaway train)”と話しているんだ”と言い、“僕はそれをネガティブな意味として言ったんだ”と言った。僕は彼に理由を尋ねた。すると彼は“日中リハーサルをやって本番に臨んだけど、うまくいかないことが時々あった。最後の街でようやくうまくいったんだ”と答えた。でも、編集したときの僕の印象では、そのフレーズはとても力強く、クールに聞こえたので、文脈から外れていてもそれを使ったんだ。再編集を試みたんだけどうまくいかず、“そのままでいい?”と尋ねたところ、彼は“いい”と答えてくれたんだよ」