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プリンスの膨大な未発表音源が残されたペイズリー・パークの地下室 保管環境は最悪だった 聴けなくなる可能性もあった

2024/05/28 11:15掲載
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Prince’s Vault
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2016年にプリンス(Prince)が亡くなったとき、ペイズリー・パークの地下にはプリンスの膨大な未発表音源が残されていました。しかし、金庫室を含む地下室の環境は録音物を保管するには最悪だったようで、貴重な音楽が聴けなくなる可能性もあったという。プリンスについての新刊『Prince and Purple Rain: 40 Years』の著者であるアンドレア・スウェンソンがポッドキャスト『Booked on Rock』の中で話しています。

「ペイズリー・パークの地下には、銀行の金庫のような巨大な扉がついた金庫室があった。その扉に続く部屋も、何年にもわたって物が置かれて、完全に物でいっぱいな状態になっていた。プリンスは一時期、自分のために働いていた人たちを解雇していたことで知られているが、ペイズリー・パークで働く人が少なくなった時期があったんだ。ちょっとしたスケルトン・クルー(運営を続けるために必要な最低限の人員)みたいなものだった。

そしてある時点で、金庫の暗証番号を知っている人が全員クビになったので、誰もそこに入る方法を知らない事態になった。それからは(スタッフは)金庫室の扉の前にテープを置き始めた。そして、テープはどんどん溜まっていった。その資料の量を考えるだけで、本当に気が遠くなるような量だった」

2016年にプリンスが亡くなってから、ペイズリー・パークに入ったアーカイブ・チームは、金庫を開けるために、プロの金庫破りを雇いました。この話は2021年に、このプロの金庫破りが米ラジオ番組で当時のことを語っています。詳しくはこちら

金庫が開き、アーカイブ・チームは、地下室の状況が理想的でないことにすぐに気付きました。スウェンソンによると、それはこれらの貴重な音楽が聴けなくなる可能性があるギリギリのタイミングだったようです。スウェンソンはこう続けています。

「彼が亡くなった後、ペイズリー・パークに入ったアーカイブ・チームは、地下室の状況が理想的でないことにすぐに気づいた。特に金庫室の前の部屋は物であふれていた。彼らによると、空気中に一種の酸性の臭いも感じられたという、これは何かが劣化し始めていることを示していた。一時は雨漏りもしていたという。アーキビストにとっては、悪夢のようなシナリオだった。

そのため、(資料は)アイアンマウンテンの施設に移され、そこで適切に保管され、カタログ化と、デジタル化が進められている。ありがたいことに、間に合って、すべての資料を救い出し、適切に保存することができた。いずれはスミソニアンかどこかに収蔵され、必要なレベルで研究され、評価されることを願っているよ」