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ブッチ・ヴィグがスティーヴ・アルビニを語る ソニック・ユース制作中の逸話/大好きなアルビニ作品/ニルヴァーナが『In Utero』でアルビニを迎えたこと等

2024/05/10 14:19掲載
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Butch Vig
Butch Vig
スティーヴ・アルビニ(Steve Albini)の訃報を受け、ブッチ・ヴィグ(Butch Vig)が思い出を語る。

●面白い逸話

「面白い話がある」と話し始めたのは、こんな逸話でした。ソニック・ユースの『Dirty』を制作している間、ヴィグはキム・ゴードンとサーストン・ムーアの家からそれほど遠くないアパートを2ヶ月ほど借りたという。そこはソニック・ユースの友人のものでしたが「初めて中に入ったとき、スティーヴ・アルビニの大きな写真が飾ってあった。口にナイフをくわえ、頬からナイフを出してニヤニヤしていた。彼とアパートの持ち主は友人だったんだ。『Dirty』を制作している間、毎晩アパートに戻ると、それが僕を出迎えてくれた。怖かったよ」。

●アルビニが手がけたアルバムの中で大好きな作品

「彼が手がけたPJハーヴェイのアルバム(『Rid of Me』1993年)が大好きだよ。初めて聴いたとき、“すごい”と思ったのを覚えている。ちょっと嫉妬した。彼は彼女の声とギターのダイナミクスを本当に見事に捉えていて、それらが爆発していたんだ。彼は、当時の彼女の状況を本当によく捉えていた。僕にとっては、彼女をアーティストとして好きになったきっかけとなったアルバムで、彼は素晴らしい仕事をしたと思う」

●ニルヴァーナが『In Utero』で自分ではなくアルビニを迎えたことについて

「当時、ニルヴァーナが(『Nevermind』の後)僕と仕事をしたがらなかったときは、少しがっかりした。今思えば、デイヴ・グロールとも話したんだけど、彼らは変化を迫られていたんだ。カートのようなパンク純粋主義者では大成功を収められないから、スティーヴを起用せざるを得なかった。スティーヴはもっと生々しいサウンドのアルバムを作った。カートにはそれが必要だったし、スティーヴはそれをやってのけた。彼は彼らのレーベルのGeffenと交渉し、そのメモをインターネットに公開したのは有名な話だよね。僕は、彼がそのようなことを公表することを恐れていないことが面白いと思ったよ」

●ヴィグが考えるアルビニの美学について

「彼はポップミュージックが好きじゃなかった。ギターのラインであれ、メロディであれ、ヴォーカルであれ、メロディックすぎるものは彼の好みではなかった。もしかしたら、彼はポップミュージックと音楽ビジネスを結びつけていたのかもしれない。何かが本当にポップになれば、おそらくメインストリームのラジオに流そうとするだろうからね。彼はそういうものとはかけ離れていて、生涯、DIYの美学を貫いていた」

●「今まで飲んだ中で最高のコーヒー」

「彼は僕たちにコーヒーを出し、“これは今まで飲んだ中で最高のコーヒーだ”と言っていた。彼は、この豆はなぜか猿のフンからできていると言った。サルの消化器官を通過するときに、酸の一部が取り除かれたんだそうだ。美味しかったよ。

最後に手紙を書いたのは、新型コロナウイルスの直前だった。スタジオ用にそのコーヒーを買いたかったんだけど、通販でないと買えなかったんだ。1ポンド30ドルとすごく高かったけど、とても滑らかで、酸味もあまりなかった。スティーヴの言う通りだった」