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ザ・クラッシュ『London Calling』 ポール・シムノンはなぜステージ上でベースを叩き壊したのか? 本人がこの瞬間を回想

2024/05/08 21:19掲載
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The Clash / London Calling
The Clash / London Calling
ザ・クラッシュ(The Clash)が1979年9月21日に米ニューヨークのパラディウムで行ったコンサートの最中、ポール・シムノン(Paul Simonon)はステージ上でベースギターを叩き壊しました。その瞬間を撮影した写真は、その後、アルバム『London Calling』のジャケット・カヴァーに使われました。そもそもシムノンはなぜ、このベースギター、フェンダー・プレシジョン・ベースを叩き壊したのでしょうか? 本人がBass Playerのインタビューの中で、この瞬間を振り返っています。

「俺はただただ、この公演にイライラしていた。俺たちは小さな観客の前で演奏することに慣れていたけど、(会場のパラディウムは)多くの場所でオーケストラ・ピット(※舞台前と客席の間にあるオーケストラが入るスペース)があって、観客と触れ合うことができなくなっていた。まるで、ものまね芝居をしているような感じで、何のフィードバックも得られない。警備が観客を立たせてもくれない。俺はベースギターを壊してしまうほどイライラしていたんだよ。

『London Calling』の瞬間の残念なことは...“予備のベースがある”なんて思わなかったんだ。予備は新しいプレシジョンだったんだけど、あまり好きじゃなかった。その頃にはCBSがフェンダーを買収していたからね。衝動的に良い方のを壊してしまって、翌日には“しまった、今はこのバカみたいなのしかないんだ”と気づいたよ。

安い予備を持ち出して、それを叩き壊すことができたはずだけど、そういうわけにはいなかった。俺にとってはね。(そのあと)結局、CBS以前の別のものを見つけて、それをまだ持っているよ」

このロックの歴史の一端を担うフェンダー・プレシジョン・ベースは2021年からロンドン博物館で常設展示されています。