Heart - All I Wanna Do Is Make Love To You
ハート(Heart) は80年代に数多くのヒットを飛ばしましたが、
ナンシー・ウィルソン(Nancy Wilson) はその中のひとつを「ハートの曲とは思えなかった」と、出演したポッドキャスト『Broken Record』のインタビューの中で振り返っています。
80年代、ハートは外部のライターと多くの仕事をしました。そのプロセスは良い結果をもたらしましたが、退屈でもありました。
ナンシーは、デモ・カセットを何時間もかけて聴いていたことを思い出しながら、こう話しています。
「たくさんの曲を試した。ひどい失敗作のような曲もあったし、本当に大げさなバラードも多かった...マーチング・ソングのような、とてももっともらしく聴こえる曲ばかりだった。マーチング・ロック・ソングか、スネアドラムにゲートエコーを多用した大げさなバラードだった」
ハートがレコーディングに選んだ曲のひとつは、ソングライター兼プロデューサーのマット・ラングが書いた「All I Wanna Do Is Make Love to You」でした。この曲の歌詞は、パートナーの男性がいるにもかかわらず、男性が不妊のため、妊娠するためにヒッチハイカーを誘惑しようとする女性の物語が描かれています。この曲はハートの1990年のアルバム『Brigade』のリード・シングルとなり、様々な国のチャートのトップを飾りました。
ナンシーは、この曲が世界的ヒット曲であることを認めながらも、この曲は自分たちのバンドには全く合わなかったと主張しています。
「この曲は、ハートの曲だとは全く感じられなかった。素晴らしい曲よ。ラジオでは天才的に聴こえるけど、リード・シンガーであるアンにとっては、この曲の歌詞で語っていることを納得させなければならないような曲ではなかった。この曲は、カントリー・ストーリーのような曲。どちらかというとそういう感じ。本当のロック・ソングではないのよ」
それでもナンシーは「All I Wanna Do Is Make Love to You」に、誇りに思っている一面があるとも話しています。
「この曲はアイルランドでは放送禁止となった。だけど、それは逆の性差別があったから。私たちは、この曲がアイルランドで禁止されたことを誇りに思っていました」
ナンシー同様、
アン・ウィルソン(Ann Wilson) も「All I Wanna Do Is Make Love to You」は好きではありませんでした。
アンは2017年のインタビューでこう説明しています。
「基本的に、私が書いていない曲では、私はストーリーテラーになる。そして、何が言われているかを掘り下げることができたとき、私はストーリーテラーとして最高の状態になると思っている。だから私は(この曲の)歌詞が物語の中の男を切り捨てているのが信じられなかった。私にとっては、それは空虚で、奇妙で、憎悪に満ちた話だったのよ」
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