パール・ジャム(Pearl Jam)と
サウンドガーデン(Soundgarden)のドラマーである
マット・キャメロン(Matt Cameron)は10代の頃、
キッス(KISS)のカヴァー・バンドを組んでいました。ある日、憧れのポール・スタンレーと出会い、「キッスのカヴァー・バンドをやっているんだ」と伝えると、それから数ヵ月後にキッスのマネージャーから手紙が届きます。「やったぞ!」と興奮するマットたちでしたが、中に入っていたのは著作権侵害行為を行っている者に対して出される停止通告書でした。マットたちのバンド名はキッスでした。「先のことは考えていなかったんだ」と米ラジオ番組『The Howard Stern Show』のインタビューの中で当時を振り返っています。
「13、14歳の頃、近所でキッスのカヴァー・バンドをやっていたんだ。地元の高校やパーティーで演奏していた。父はサンディエゴのステージ制作組合の代表と友達だったから、キッスがサンディエゴで演奏した時......『Alive』ツアーの時、75年だったかな、サンディエゴ・スポーツ・アリーナでキッスのサウンドチェックを観ることができたんだ。
僕は一緒にキッスのバンドをやっていたティムとデイヴ・マホーニーを連れて行った。愚かなキッスのカヴァーバンドの写真を持ってね。それでポール・スタンレーと一緒に写真を撮ったんだよ。“俺たちはキッスのカヴァー・バンドをやっているんだ”とか言ってね。
それから4、6ヶ月経った頃かな、オーコイン・マネージメントから停止通告書が来たんだ。僕らはキッスの大ファンで、キッスはアルバムにオーコイン・マネージメントのロゴを入れていた。だから(手紙を開ける前は)“おっ、オーコイン・マネジメントから手紙が来たぞ、やったぞ!”と興奮していたんだけど、それはキッスからの停止通告書だったんだ」
エディ・ヴェダーを始めとするパール・ジャムのメンバーたちが大笑いする中、マットは、彼とバンドメンバーがキッスのトリビュート・バンドを始める際に決定的なミスを犯したことを認めてこう話しています。
「僕たちは(自分たちの)バンドをキッスと呼んでいたと思う。先のことは考えていなかったんだ。その後は“キッス”に加えて括弧書きで“イミテーション(物まね)”とも書いたんだよ」