スチュワート・コープランド(Stewart Copeland)はポッドキャスト『Broken Record』の新しいインタビューの中で、
ポリス(The Police)の黎明期に
スティング(Sting)のヴォーカルの可能性を最大限に感じたライヴを振り返っています。
1977年末から1978年初めにかけて、スティングとアンディ・サマーズはドイツの作曲家/シンセサイザー奏者エバハルト・シェーナー率いるアンサンブルの一員としてレコーディングと演奏を行い、コープランドも一時参加しました。
3人はドイツで、「レーザー、バレエ・ダンス、ジャズ・サックス奏者など、さまざまな要素を取り入れた」というユニークなバラエティ・ショーの一環として演奏していました。コープランドはこう話しています。
「その要素のひとつがジャズ・シンガーの女性で、彼女は当時のシャーデーのようなものだった。ある日、彼女はマイクから離れるというミスをした」
その時、スティングは他のバンドメンバーがそれまで聴いたことのないものに挑戦したという。コープランドは続けます。
「若いスティングがマイクに近づいて、すごいことを始めた。どう表現していいかわからないけど、ヨーデルをしているんだ。ポリスのライヴに来たことのある人なら僕が何を言っているのかよくわかると思うけど。スティングが暴れ出すと、ベースラインと相まって、それまで聴いたこともないような反復的なヴォーカルが始まるんだよ」
その瞬間、コープランドはスティングのヴォーカルの可能性を最大限に感じたという。
「心をすべて打ち砕いた。鳥もさえずりを止めただろう。アンディと僕は彼の隣にいて、僕は“まじか!いきなりどうしたんだ?”と言った。彼は僕たちの目の前で飛び立ったかのようで、僕たちは“なんてこった”と思ったよ」
コープランドはしばらくの間スティングのバンドメイトでしたが、ポリスの初期の楽曲ではスティングのヴォーカル能力を十分に発揮できていませんでした。そのため、コープランドはバンドメイトの歌声に驚きを隠せなかったという。
「(初期の)パンク・バンドでは、彼が叫んでいるのしか聴いたことがなかった。彼があのようなメロディーの発明で舞い上がるのを聴けたのは素晴らしいことだが、ロンドンでは許されなかっただろう。こういう音楽性では(音楽誌の)New Musical ExpressやMelody Makerなどに酷評されていただろうからね」