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評伝『レスター・バングス 伝説のロック評論家、その言葉と生涯』八倍

2024/04/11 17:36掲載
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レスター・バングス 伝説のロック評論家、その言葉と生涯
レスター・バングス 伝説のロック評論家、その言葉と生涯
ロック音楽批評に大きな影響を与えた、アメリカの伝説的なロック評論家レスター・バングスの生涯を綴った評伝『レスター・バングス 伝説のロック評論家、その言葉と生涯』が、トンカチから4月30日発売

以下インフォメーションより

音楽について語ることが、表現し行動することであった激動的な1970年代。その真っ只中を生きて死んだ、伝説のロック評論家レスター・バングスの評伝、日本初書籍化。一人の、これ以上ないほどにクチの悪い男が「文学としてのロックンロール / ロックンロールとしての文学」を作り出すまで!

「レスター・バングス 伝説のロック評論家、その言葉と生涯。(原題:LET IT BLURT)」は、抑圧された子供時代からロック批評家として頭角を表し突然の死に至るまで、伝説の男の人生を丹念に追った記録である。翻訳は無理とも言われるその独特の表現、比類なき音楽への情熱、攻撃的なのに泣けてくる、どうしようもないほどに切ない魅力が明らかにされる。

没後40年以上が経過した今も、レスター・バングスは本気で音楽と対峙した傷だらけのヒーローとして、人々の記憶に残り続けている。その言葉に触れたものは、本当の音楽、本当の文学、本当の青春に触れたように、それ以前とは何かが全く変わってしまうのだ。

「パンクロック」や「ヘヴィメタル」を定義し、絶賛するにも酷評するにも、同じだけの愛と憎しみを注いだ、あり得ないロック評論家。英語圏においては、彼の評論スタイルは1つの到達点として認識されているが、日本ではこれまで書籍の出版がなく、ほとんど知られてこなかった。本書はその空隙を埋める最初のものである。版元では引き続きレスター・バングス自身の評論集も刊行予定である。

■レスター・バングス

レスターのキャリアは大学時代、雑誌「ローリングストーン」の読者によるアルバムレビューを募集する企画に応募したことから始まった。独学で築いた荒々しい言葉遣いと極めて鋭利な文章は人気を集め、ローリングストーンでニッチな地位を確立した。1973年「ミュージシャンを侮辱した」という理由で解雇されるまで、ローリングストーンで執筆を続けた。
その後、寄稿した雑誌「Creem」でも、騒々しく急進的な批評は止まらなかった。ある時は、アメリカのロックバンド、J・ガイルス・バンドのコンサート中に、タイプライターを手にステージに上がり、聴衆に見られながらリズムに合わせてキーを叩き批評でライブした。Fusion、Playboy、Penthouse、New Musical Express、Phonograph Record Magazine、Village Voiceなどさまざまな出版物に寄稿する。1982年、ドラッグの過剰摂取が原因で33歳という若さで生涯を閉じた。

2000年には映画「あの頃ペニー・レインと」で今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマンがレスター・バングス役を演じた。ニューヨークパンクを代表するバンド ラモーンズや、世界で最も重要なバンドとも評されるREMのマイケル・スタイプは愛情を込めて曲中で彼の名前を歌い、作家デヴィッド・フォスター・ウォレスは、初の共著『シグニファイング・ラッパーズ』をレスターに捧げた。ニューヨーク・パブリック・シアターの公演「How to be a Rock Critic(ロック批評家になる方法)」の元となったのが本書である。
■『レスター・バングス 伝説のロック評論家、その言葉と生涯』
定価 :3,960円(本体 3,600円+税)
発売日:2024年4月30日
体裁 :上製本  縦188mm 横128mm 厚さ32mm 488ページ
ISBN :978-4-910592-34-3
出版社:株式会社トンカチ

<目次>

・はじめに
・第1章 閉ざされた円環
・第2章 クールの誕生
・第3章 ドラッグ・パンク
・第4章 運命の分かれ道
・第5章 ボーイ・ハウディ!
・第6章 75年まで生き延びろ
・第7章 彼女が俺を読んでいる
・第8章 テンダー・ヴィトゥル
・第9章 まだ中に誰かいる
・第10章 ブラゾス川のジューク・サヴェージ
・第11章 世捨て人らに囲まれて
・後日譚
・謝辞

付録Ⅰ きみもロック評論家になろう レスター・バングス究極の教え
付録Ⅱ レスター・バングス詞選

<著者略歴>
ジム・デロガティス

1964年生まれ。アメリカの音楽評論家、ジャーナリスト、大学の准教授。世界で唯一のロックンロールトークショーであるラジオ『サウンド・オピニオン』の共同司会者。シカゴ・サンタイムズ紙でポップ・ミュージック評論家として 15年間寄稿した。
彼自身ドラマーであり、80年代初頭から数々のインディー・ロック・バンドに在籍してきた。現在のパンクトリオ、ヴォルティスは2000年から活動しており、最近7枚目のアルバム『This Machine Kills Fascists』をリリースした(Cavetone Recordsからレコードで発売中、Spotifyでストリーミングも可能)。彼もレスター同様、ローリング・ストーン誌 在職中に、否定的な批評を書いたために解雇されている。

ジャーナリスト志望だった高校生の時、「自分のヒーローにインタビューしてくる」という課題で彼がインタビュー相手に選んだのがレスターだった。「優れたロックンロールとは何か?」という高校生の質問に、レスターはしばし黙り込んだあとで、「それはロックでなくても、映画でも、文章でもいいんだ。物事に対する向き合い方なんだ。人生を貫くための方法なんだ」と答える。そして高校生が差し出した値引きシールがそのまま貼られた自著に、まだ売れ残ってたんだな、といいながらサインする。「ジムへ 次はお前の番だ。頑張れ。レスター」これが本書執筆のきっかけとなる。レスターが亡くなる2週間前のことだった。