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ドン・ヘンリー 「The Boys Of Summer」の誕生について回想

2024/03/27 18:23掲載
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Don Henley
Don Henley
ドン・ヘンリー(Don Henley)は、ソロ・キャリアの代表曲のひとつ「The Boys Of Summer」の誕生について、英Classic Rockのインタビューの中で振り返っています。

80年代初頭、イーグルス(Eagles)が活動休止(その後に一旦解散)となり、各メンバーはソロ活動を始めました。

「イーグルス抜きで曲を書き、レコーディングしなければならないという大きなプレッシャーを感じていた。ソロ活動をするなんて考えたこともなかった。地に足がつかず、漂流しているような気分だったよ」

ヘンリーは1982年にデビュー・アルバム『I Can't Stand Still』をリリース。その後、次作のための素材集めを始めた1983年頃、ドラムマシンは音楽のサウンドを再定義しつつありました。

「新しい電子楽器には複雑な感情を抱いたよ。でも、ダニー(コーチマー/イーグルス後のコラボレーター)は最新の機材に詳しくて、僕たちのソングライティングやレコーディングのプロセスにそれを熱心に取り入れてくれたんだ」

その頃、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom Petty and The Heartbreakers)のギタリスト、マイク・キャンベル(Mike Campbell)は、自身が手に入れたリンドラム・マシンを使った最初の実験を行っていました。その実験を経て生まれたデモをトム・ペティとプロデューサーのジミー・アイオヴィンに聴かせますが、ハートブレイカーズの曲としては「ジャジーすぎる」という理由で却下されました。

ヘンリーとキャンベルは記憶が異なる部分がありますが、キャンベルはこの曲のカセットをヘンリーの家に持って行ったと、自身のYouTubeチャンネルで公開した動画で回想しています。

「僕たちは長いテーブルの両端に座り、彼はカセットを再生した。彼は足も叩かず、頭も動かさず、ただ腕組みをして座っていた。彼は最後まで聴いた。僕は彼がそれを嫌っていると思ったが、彼は“よし、これで何ができるか考えてみよう”と言ったんだよ」

ヘンリーはこう振り返っています。

「一緒に仕事をしている人たちは、少なくともほとんどのピースが収まるまでは、僕はあまり実演的ではないと言うだろうね。マイクがマシンを使って作ったパーカッションが好きだった。ギターの音とシンセサイザーの音がとても気に入った。すべてのレイヤーが融合して、本当に心に響くテクスチャーになっていた。ちょっとしたアレンジが必要だっただけだ。どこに何が入るかわかったら、メロディーも歌詞もあっという間に流れてきたよ」

「The Boys Of Summer」はロジャー・カーンが1972年に出版した野球に関するベストセラー本のタイトルですが、ヘンリーが言及したのはもっと昔のことでした。

「僕は野球ファンだけど、その本のことは知らなかった。僕はディラン・トーマスの詩から着想を得たんだ。“I see the boys of summer in their ruin”で始まる詩なんだ」

「The Boys Of Summer」は特定の人に向けて書かれた曲ではないという。

「僕の曲のいくつかはそうだけど、この曲は違う。インスピレーションやミューズに関係なく、僕は普遍的なテーマを保つようにしている。曲に曖昧な要素があるのが一番いいんだ」

歌詞の最後には「Out on the road today, I saw a Deadhead sticker on a Cadillac(今日、路上でキャデラックにデッドヘッドのステッカーが貼ってあるのを見た)」という印象的な一節があります。ヘンリーは「あれは贈り物だった」と振り返っています。

「歌詞は時に神秘的なところから生まれる。僕はブリッジ(Bメロ)部分で行き詰まっていた。言葉もメロディーも出てこなかった。ある日の午後、僕は州間高速道路405号線のサンセットの南あたりを走っていた。左側を見ると、そこには1979年製のキャデラック・セヴィルがあって、後部座席にはデッドヘッドのステッカーが貼られていたんだ。皮肉で、逆説的で、ちょっとしたノスタルジアを感じさせてくれたので、曲の中に登場したんだよ」

1984年10月、ヘンリーのセカンド・アルバム『Building The Perfect Beast』からのファースト・シングルとしてリリースされたこの曲は、すぐにヒットしました。全米で5位を記録し、全英では12位とヘンリー最大のシングルとなりました。この曲のミュージックビデオは1985年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでビデオ・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

ヘンリーにとって「The Boys Of Summer」は今でも「僕が共作した中で最高の曲」のひとつであるという。「もう40年近く前の曲だよ。人生は短いが、とても広いということを改めて思い知らされる曲だ」と話しています。