『アフター・バッハII』は、2018年発表の『アフター・バッハ』に続くシリーズ2作目のタイトルであり、元々は、カーネギー・ホール、トロント王立音楽院、ナショナル・コンサート・ホール、そしてウィグモア・ホールからの委嘱によって作曲された「Three Pieces After Bach」というプログラムで、2015年にメルドーが初めて披露した作品だ。そのプログラムからメルドーによる2曲のオリジナル曲が『アフター・バッハ』に収録されており、名匠の技術が冴えわたる最後の1曲が今回『アフター・バッハII』に収録されることとなった。
ブラッド・メルドーのNonesuchからのデビュー作は、2004年のソロ・アルバム『Live in Tokyo』であった。それに続く同レーベルからの19作品のリリースには、トリオでの作品、コラボレーション、ソロ・アルバムの6枚の作品が含まれる。近年のリリースでは、コロナ禍のロックダウン中にレコーディングされたソロ・アルバム『組曲:2020年4月』や、それに続く『ジェイコブス・ラダー』(2022年)では、音楽を通じた神の探求と聖句についての熟考を表現し、若かりし頃のメルドーが愛したプログレッシヴ・ロックからインスピレーションを受けた楽曲を演奏している。続くライヴ・ソロ・アルバムの『ユア・マザー・シュッド・ノウ:ブラッド・メルドー・プレイズ・ザ・ビートルズ』では、ジョン・レノンとポール・マッカートニーによる9曲と、ジョージ・ハリソンによる1曲を、メルドー独自の解釈でカバーした。また、メルドーの回顧録とも言える書籍『Formation: Building a Personal Canon, Part I』も2023年に出版されており、彼自身の言葉で、ジャズ界の頂点を極めるアーティストの頭の中を覗くことができる貴重な機会となった。
■『After Bach II』 1. Prelude to Prelude 2. Prelude No. 9 in E Major from The Well-Tempered Clavier, Book I, BWV 854 3. Prelude No. 6 in D Minor from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 851 4. After Bach: Toccata 5. Partita for Keyboard No. 4 in D Major, BWV 828: II. Allemande 6. After Bach: Cavatina 7. Prelude No. 20 in A Minor from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 865 8. Between Bach 9. Fugue No. 20 in A Minor from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 865 10. Intermezzo Variations on Bach’s Goldberg Theme: 11. Aria-like 12. Variation I, Minor 5/8 a 13. Variation II, Minor 5/8 b 14. Variation III, Major 7/4 15. Variation IV, Breakbeat 16. Variation V, Jazz 17. Variation VI, Finale 18. Prelude No. 7 in E-Flat Major from The Well-Tempered Clavier Book I, BWV 852 19. Postlude
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■『Après Fauré』 Gabriel Fauré: 1. Nocturne No. 13 in B Minor, Op. 119 (1921) 2. Nocturne No. 4 in E Major, Op. 36 (c. 1884) 3. Nocturne No. 12 in E Minor, Op. 107 (1915) Brad Mehldau: 4. Prelude 5. Caprice 6. Nocturne 7. Vision Gabriel Fauré: 8. Nocturne No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 74 (1898) 9. Extract from Piano Quartet No. 2, Opus 45 (c. 1887): III. Adagio non troppo