Blues Saraceno, Jack Bruce and Ginger Baker (Image credit: Getty Images)
1980年代末、
ジャック・ブルース(Jack Bruce)と
ジンジャー・ベイカー(Ginger Baker)は新しい3人組バンドで
クリーム(Cream)の楽曲を演奏できるギタリストを探していました。オーディションで選ばれたのは
ブルース・サラセーノ(Blues Saraceno)でした。サラセーノは米Guitar World誌の新しいインタビューの中で、このオーディションのことを振り返っています。
サラセーノは、16歳の時に『Guitar for the Practicing Musician』誌の特集で音楽界の注目を集め、この当時、多作なセッション・プレイヤーとしてクレジットを増やし始めていました。
オーディション後、ベイカーとブルースは、サラセーノと共にクリームのレパートリーを演奏するツアーを何年にもわたって行い、ツアーを成功させた後、彼は「エリック・クラプトンの後継者」とも呼ばれるようになりました。しかし、サラセーノによると、オーディションはかなり険悪なスタートだったそうです。
マンハッタンで車が故障し、2時間遅れで会場に到着したサラセーノは、自分が「大物セッション・マン」に囲まれていることに気づきます。彼自身の言葉を借りれば「ガンズ・アンド・ローゼズとヴァン・ヘイレンの全盛期モード」だったというサラセーノとは対照的でした。場違いな感じはしたものの、彼はベストを尽くし、そして最も記憶に残るものにしようと思いました。
「マーシャルのJCM800に繋いで“そんなことはどうでもいい。どうせ、この仕事を得ることなんてできないんだから”と思い、“ただベストを尽くして、この状況を価値あるものにしよう”と思ったんだ。ストレスを感じながらもね。
アンプの音を全部10にして、彼らを吹き飛ばさないように傾けて、誰かの歯がガタガタになるくらいギターを激しく弾いた。
みんな僕のことを見ていた。僕は“くそっ。遅刻しただけでなく、このオーディションを完全に台無しにしてしまった”と思った。彼らは何も言わなかった。そして、ジャック・ブルースがこっちを見て終わりの合図をくれた。帰り際は本当に恥ずかしかった。
僕は“くそっ。アンプを10じゃなくて8にしておくべきだったかもしれない”とか、いろいろ考えたよ。彼らに礼をして出ていった。“最悪だ”と思ったよ。
でも家に帰ったら、“ジャックがまた来てほしいと言っている”というメッセージがあったんだ。月曜日にまた行って、3曲覚えて、それでロックして、うまくいったんだ。それでライヴが決まったんだよ」
ツアーの成功で「エリック・クラプトンの後継者」とも呼ばれるようになったサラセーノですが、そのような期待にどう思っていたのでしょうか? サラセーノはこう続けています。
「クラプトンになろうとしていたわけではないし、なれるはずもない。エリック・クラプトンが成し遂げたことには誰も触れることができない。彼は二度とない才能の持ち主だし、ジャックもそれを知っていたから、僕のような青いモヒカンにチェック柄のギターを持った子供が、あそこで曲を自分のものにしていることを気に入ってくれたんだ。
僕はただそこに立っていて、クリームの曲を演奏していただけ。最高にクールだったよ」
サラセーノは1990年代にはポイズンにも在籍していました。