村井邦彦 / 音楽を信じる We believe in music!
■『音楽を信じる We believe in music!』
村井邦彦 (著)
<内容>
約半世紀前、音楽には「洗練されたもの」と「そうでないもの」があるということを村井さんから教わりました。
「洗練されたもの」はその後、様々な音楽を吸収し、時にはニューミュージック、時にはシティポップ、と名前を変えながら現在も成長し続けています。 そんな音楽の出発点に村井さんがいたことを僕たちは忘れてはならないのです。
松任谷正隆
教科書にも載っている国民的愛唱歌「翼をください」で知られ、数々の個性的な名曲で歌謡曲に新風を吹き込んだ作曲家が、デビュー間もない24歳で音楽出版社「アルファミュージック」を旗揚げする。高校生だったユーミンの才能を見出し、今や世界の若者が「シティポップ」としてもてはやす質の高い楽曲やコンセプトアルバムを次々と世に送りだし、アメリカのレコード会社と契約を結んで、YMOの世界進出を成功させる。その多面的な活躍を貫く「村井邦彦」の美学の源泉が、本書の此処かしこから顔をのぞかせる。
80年に及ぶ半生の時々の出来事を、カメラで活写するようにつづった自伝は、新しいカルチャーの勃興期に誰と誰が出会い、そこでどのような化学変化が起きたかがみずみずしく描かれており、時代を経ていささかも古びることはない。平成から令和にかけて登場したミュージシャンにとって、あたりまえのスタンダードが実はいかに新しく過激なものであったか、そのことを新たに発見する書になるであろう。あこがれからではなく、最初から等身大で欧米とフランクに向き合えた人たちが生み出した日本の音楽のアイデンティティーが、たしかにここにはある。
<目次>
Ⅰ 僕の履歴書
音楽を信じる/両親/北千住の家/暁星/波野君
ジャズ/慶應大学「ライト」/野尻学荘/キャンティ
ドレミ商会/作曲家デビュー/GSブーム/わずか10日で12曲
パリで音楽出版社起業/米国でも契約/ヤマハとガミさんと赤い鳥と
スタジオA/ユーミンの「ひこうき雲」/「翼をください」
勝新太郎監督の映画音楽/「美しい星」
アルファの名盤/A&Mというパートナー/YMO
檻から出て自由に/同窓会ライブ/
家族とともに
Ⅱ パリの思い出
初めてのパリ
「マロニエの花が言った」のパリ
ショーが「はじめてパリを見た日」
バークレイ・レコードの仲間たち
「スワンの恋」と「パリよ、永遠に」
永井荷風とノルマンディー
モンパルナスのラ・クーポール
ミシェル・ルグランの夢を見た
「ふらんす物語」に描かれたキャバレー
さよならパリ
Ⅲ 忘れえぬ人々
アーメット・アーティガン
古垣鉄郎さん
辻静雄さん
梁瀬次郎さん
Ⅳ YMO前史
すべては「スタジオA」から
エイブ・ソマーとルー・アドラー
ハリー細野の「イエローマジック」
僕が知らなかった誕生秘話
日本の音楽のアイデンティティー
<著者について>
村井邦彦
作曲家、編曲家、プロデューサー
1945年東京生まれ。慶應義塾大学卒。69年に音楽出版社アルファミュージック、77年にレコード会社アルファレコードを設立し、赤い鳥、荒井由実、吉田美奈子、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)などを世に送り出した。作曲家としての代表作に「翼をください」「虹と雪のバラード」(札幌オリンピックの歌)など。米国ロサンゼルス在住。