Michael Monroe and Vince Neil
ハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)のドラマー、ラズルが亡くなった交通事故から39年後の2023年。ハノイ・ロックスの
マイケル・モンロー(Michael Monroe)と、事故を起こした
モトリー・クルー(Mötley Crüe)の
ヴィンス・ニール(Vince Neil)が初めて対面しました。モンローは、この日のことをスウェーデンのラジオ局Rockklassikerの新しいインタビューの中で振り返っています。
1984年12月8日、ヴィンス・ニールは車の運転中に死亡事故を起こし、同乗していたラズルことニコラス・チャールズ・ディングリーは、この事故に巻き込まれて亡くなりました。当時、血中アルコール濃度が法定値を大幅に超えていたニールは、自動車運転過失致死と飲酒運転の罪に問われ、30日間の禁固と保護観察5年の判決を受けました。ハノイロックスは翌年1985年に解散しました。
2023年6月、モンローとニールはフィンランドの<Rockfest festival>のバックステージで、久しぶりに対面しました。
「良かったよ。実のところ、僕は何年も前から、(会わない)特別な理由はない思っていた。一時は反感を買ったことがあった。ある時、彼らが(ボックス・セットに)『Music To Crash Your Car To(車をクラッシュさせる音楽)』というアルバム・タイトルを付けたことで、(あるメディアが)僕に電話してきて、それについて意見を求めてきたんだ。“悪趣味の悪評が立った”というようなことを言ったと思う。そしたらニッキー(シックス)が怒って否定的なコメントをしたんだけど、僕はそれ以上踏み込まなかった。本当にする理由がないと思ったからね。僕たちはもともと友達だったし、あの不運な事故によって僕たちはずっとつながっている。残念だけど、それはしょうがない。でも僕は、そのつながりはもっとポジティブなものであってほしいんだ。
モトリー・クルーが去年の夏に、フィンランドのこのフェスティバルに出演することを知って、(デフ・レパードの)ジョー・エリオットに手紙を書いたんだ。彼は心優しい人、天使だよ。僕は彼のことが大好きだし、彼は60年代、70年代以降のあらゆるバンドのことを知っていて、あらゆるバンドのレコードを持っている。
彼に手紙を書いて“この手紙をニッキーに渡してくれないか?彼にアプローチしたいんだ”と聞いた。手紙は基本的に、ただ連絡を取り合って、過去のことは水に流せるかどうか確かめたいと書いたんだ。たとえ僕らがあの悲劇でつながっていたとしても、もっと前向きな気持ちでいたいんだ。いずれにせよ、僕は彼の幸せを祈った。すると彼はすぐに返事をくれた。彼は“ありがとう、マイケル。ありがとう”と書いていた。僕はそれをすべて心に刻んだ。とても心のこもった手紙で彼の誠実さが伝わってきた。彼は“ああ、明日行くよ。ジョー・エリオットが、君が来るって言っていた。明日、また会おう”とも書いていたので、僕は“いつかヴィンスに会いたい”と書いたんだ。ヴィンス・ニールには会ったことがなかったから“できれば、いつか彼に会いたい”と書いたんだ。僕は彼に会えることを望んでいた。
もうちょっと早く着いていたら、(モトリー・クルーがカヴァーした)“Smokin' In The Boys Room”で(ハーモニカを)吹いていたかもしれない。ハーモニカは持っていたんだけど、その日の午後、トゥルクで自分のライヴがあったからね。車で行ったんだ。彼らがステージに上がる5分前に着いたので、ステージの横にいた。彼らのライヴを見たのは初めてだった。アリス・クーパーがフィンランドで彼らのオープニング・アクトを務めたことがあったんだけど、そのときは彼らのライヴ(を観るため)に残らなかった。今回はライヴ全体を見た。良かったよ。ヴィンス・ニールが本気で歌っているのがわかったし、本当に良かった。本当に素晴らしい響きだった。ライヴが終わってステージから降りると、ニッキーが僕をハグしに来た。それからヴィンスが来て、僕たちは会った。僕はラズルがいつも僕たちを会わせたがっていたことを話した。僕たちは似ているから。そしたら彼は微笑んでくれて、それから30秒くらいお互いの目を見つめ合ったんだ。彼がどれほどの痛みを抱えて生きてきたのかがわかったよ。ラズルの死によって影響を受けた僕らの中で、彼が一番苦しんでいるのは明らかだ。それは決して同じではない。
そのあと彼とは分かれ、他のメンバーもそれぞれ(バックステージに)戻るなか、ニッキーは“バックステージですぐに会おう”と言ってくれた。そして、バックステージにニッキーに会いに行って、いろいろと話をした。トミー(リー)ともね。
でも、やっぱりヴィンスに言いたいことがあった。それで、1週間後くらいにニッキーに渡してもらうように頼んで、彼に手紙を書いた。少し時間がかかった。慎重に言葉を選びたかったし、彼に知って欲しかったし、少しでも気持ちが楽になって欲しかった。だから、その手紙を送ったんだ。僕の誕生日にやっとニッキーに手紙を送れた。“これをヴィンスに渡してくれる?”と言ったら、彼は“ああ、いいよ”って。数日後、ヴィンスが手紙を読んでくれて、彼は満面の笑みを浮かべて“素晴らしいね”と言ったんだよ。
(ヴィンスに手紙を書いた理由について)
もし彼がまだそんな風に感じているのなら--彼はきっと、あの出来事や事故によって苦しめられ、疲れているのだろう--自分を許して、幸せな人生を送るべきだと。本当に......それがラズルが彼に望むことなんだ、と感じてもらいたかったんだ。彼はいい人だ。彼の人生には幸せがふさわしい。彼は本当につらい時間を過ごしてきたし、その後も決して同じではなかった。恐ろしい出来事だ。僕たちの誰にでも起こりうることだし......僕は、願わくば彼が少しは気が楽になることを願っていた。彼がたくさん苦しんでいるのがわかったし、あれ以来決して同じではないことが分かった。だから、彼に手を差し伸べることができて嬉しかった。今度彼らがフィンランドに来るとき、あるいは僕らがどこにいようと、もし同じ場所にいたら、僕はそこで“Smokin' In The Boys Room”でハープを弾くよ。
(モトリー・クルーとの関係について)
ニッキー(と僕)は良い友達だったし、ニッキーは僕に返事をくれた。僕と揉めたことはないし、問題もないと言ってくれた。だから、また友達になれて嬉しいよ。僕はただ、過去を清算したかっただけなんだ。
誰とも悪い関係にはなりたくない。人生は短すぎる。そのことがずっと気になっていたんだ。それが一度も晴らされることがなかったから、その気持ちを整理して、今はまた友達になれた。ヴィンスに会って、僕が本当に伝えたかったことを伝えることができた。彼が幸せであることを願っているし、少しでも気持ちが楽になることを願っている。これは誰にでも起こる恐ろしいことだから。影響を受けた僕らの中で、彼が一番苦しんでいるのは明らかなんだ。その後、僕はずっと気分が良くなった。また友達になれたんだ」