Rush / A Farewell to Kings
ラッシュ(Rush)の「Xanadu」は彼らのキャリアを象徴する楽曲のひとつですが、メンバーの
ゲディー・リー(Geddy Lee)によると、唯一のマスター・レコーディングがテープ・マシンのトラブルによって永遠に失われるところだったという。この出来事をきっかけにラッシュは録音したものをすぐにコピーするようになったという。そういう意味でもランドマーク的楽曲でした。
ラッシュは、ウェールズのロックフィールド・スタジオで録音された1977年のアルバム『A Farewell to Kings』のセッション中にこの曲を録音しました。
レコーディング終了後、彼らはミックスのために英ロンドンのアドヴィジョン・スタジオに向かいましたが、そこでのマシン・トラブルについて、ゲディー・リーは回顧録『My Effin' Life』でこう書いています。
「“Xanadu”のミックス作業をしていたとき、マスター・テープマシンが巻き戻し中にガタガタと言い出して、テープが一時的に詰まってしまったんだ。テープはうねり出し、回転しながらもう一方のテープの下にあるトランスポートに巻きついた。僕たちは皆、この曲の唯一のコピーが機械の中で音を立てているのを聞いて、呼吸を止めたよ」
プロデューサーのテリー・ブラウンが慎重にテープを取り出して隅々まで調べた結果、「幸いなことに、テープは破れてはいなかったけど、ひどい折り目がついていた」という。
それ以来、ラッシュは録音したものをすぐにコピーするようになったという。