エイドリアン・ブリュー、2013年のナイン・インチ・ネイルズのツアーをやめた本当の理由を明かす

キング・クリムゾン（King Crimson）等で知られるエイドリアン・ブリュー（Adrian Belew）は、ナイン・インチ・ネイルズ（Nine Inch Nails）が2013年に活動を再開した際、ツアー・バンドに参加することが発表されたものの、ツアー開始直前に突然脱退しました。ブリューはそのツアーのステージに立てなかった本当の理由を「今なら話しても構わないよ」と、Ultimate Guitarの最近のインタビューの中で明かしています。

Ｑ：あなたが話しているのを聞いたことがないと思うのですが、2013年にナイン・インチ・ネイルズのツアーをやめたのには理由があったのですか?

「ああ、今なら話しても構わないよ。当時は、とても動揺していたから、何も言わない方がいいと思ったんだ。これから話すのは僕の解釈だ。他の人に聞いたら違う答えが返ってくるかもしれない。

トレント（レズナー）から電話があったとき、彼と一緒にナイン・インチ・ネイルズを再発明するというアイデアにとても興奮したんだよ。

彼は僕に“曲を一音一音正確に覚える必要はない。ただ曲を知っていてくれればいい”と言っていた。だから曲を聴いて、パートを理解しようとはしなかった。興味本位でちょっとだけやっただけ。それから現地に着いたとき、12週間のリハーサル期間があった。フランク・ザッパと一緒なのかと思ったよ。12週間あれば何でも学べる。

でもね、17日後には、彼はバンドの何人かが僕に違和感を持っていると言ったんだ。彼らは、僕が自分のパートをきちんとやっているようには感じていなかったし、僕が曲をそれなりに理解しているようにも感じていなかった。だから僕は“聞いてほしい、17日目だよ。まだサウンドやいろいろなアイデアを練っているところなんだ。曲の心配もしていない”と言ったんだ。

でも彼らは“LA的なプレーヤー”だったんだ。僕の考えでは、彼らには想像力がほとんどないんだよ、そういう風に言っておこう。結局、彼は僕に“そろそろ出て行く時間だ”と言ったんだ。

彼自身もとても動揺していた。“君は世界で一番好きなプレイヤーだけど、バンドの仲間が君をバンドに入れたくないと言うなら......僕にできることは何もない”と言っていた。本当にひどかった。僕はそれから1年半、すべてを保留にした。何もかも。ライヴを全部キャンセルして、家に帰って半年間何もしなかった。自分の家にあるスタジオに入って何かに取り組もうとすることさえ、精神的にも感情的にもできなかった。ただすべてを失った......すべてをね。

その3ヵ月後、ロバート・フリップは、僕がキング・クリムゾンにもういるべきではないと決めた。それがとどめの一撃のような出来事だった。

そして6ヵ月後、僕はこう言ったんだ。“今はエイドリアン・ブリューであることがいい。これからエイドリアン・ブリューでやるんだ”とね。その時から、“Flux”という曲を書いた。オーケストラ曲を書いて、オーケストラと演奏した。ピクサーと一緒にオスカーを受賞した映画（2016年の『Piper』）も作った。だから、僕にとってもうまくいったんだ」