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トレヴァー・ホーン 「“80年代を発明した男”はとても恥ずかしかった」「イエス加入は本当はやりたくなかった」

2024/02/07 18:45掲載(Last Update:2024/02/08 01:24)
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Trevor Horn
Trevor Horn
トレヴァー・ホーン(Trevor Horn)は、Vultureのインタビューの中で、バグルス(The Buggles)「Video Killed the Radio Star」のミュージックビデオがMTVの幕開けとなったことなどで「80年代を発明した男」と言われたことについて「とても恥ずかしかった」と回想。またイエス(Yes)への加入を「本当はやりたくなかった」と振り返っています。

Q:フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの大ヒット曲「Two Tribes」をプロデュースしたときも、レコーディングが大変だった例のひとつですね。著書『Adventures in Modern Recording: From ABC to ZTT』の中で、当時、隣のスタジオで作業していたエルヴィス・コステロが、あなたがその1曲の作業を終える前にアルバム全体のレコーディングとミキシングを行っていたという面白いエピソードが語られていますね。

「あの曲を思い通りに仕上げるには、とにかく時間がかかった。特にベースが問題だった。そのときエルヴィスがやってきて、“ベース・パートをまだやってないの?”と言っていたよ。でもね、この曲がリリースされると、イギリスで9週間1位を記録したんだ」

Q:「Video Killed the Radio Star」を書いた当時は、ミュージック・ビデオが大きな力を持っていたわけではありませんでした。MTVのようなものが登場することは想像していましたか?

「いや、僕の頭の中はJ.G.バラードや読んでいたSFのことでいっぱいだった。いつの日か、人々がコンピューターに向かい、グループを発明する日が来るとは思っていたよ。それこそがバグルスが意図していたもので、誰かがコンピューターで発明した愚かなポップ・グループだったんだ」

Q:あなたの曲がMTVの幕開けとなり、MTVは巨大な存在になりました。MTVとのつながりが、あなたが「80年代を発明した男」として知られるようになった理由の一部です。それについてはどう感じましたか?

「初めて聞いたときは、僕が考えたと思われるんじゃないかと思って、とても恥ずかしかったよ! 反論しようとしたんだけど、20回もインタビューでそのことを聞かれたら、もうあきらめちゃうよね。実際はラッキーだったんだ。誰もやったことのない大きな分野に最初に入ったんだ。新しいツールがたくさんあったのに、誰もそれを使っていなかった。僕は毎日、何か新しいものを見つけては試していたよ」

Q:「Video Killed the Radio Star」で技術的な仕事をしたひとりに、23歳のハンス・ジマーがいました。彼がハリウッドで最も多作なサウンドトラック作曲家のひとりになるとは、そのとき想像していましたか?

「“Radio Star”の途中でラップを書いて、ハンスにやらせようとしたんだ。僕が書いた数行は“君は23歳のときに僕のバンドにいた/まさか僕より有名になるとは思ってもみなかったよ!”というものだった。ハンスは魅力的な人だったけど、ポップミュージックの世界では彼を見ることができなかった。映画の世界に入ってからはずっと楽になって、彼は素晴らしい才能を発揮しているよ」

Q:1980年、イエスのフロントマン、ジョン・アンダーソンが脱退したとき、彼らはあなたに後任を頼んだ。その決断は最近、米ローリング・ストーン誌の「音楽史上最悪の決断 50」に選ばれました。どう思いますか?

「本当はやりたくなかったんだ。ジョン・アンダーソンには遠く及ばないと思っていたからね。彼らは、ソールドアウトしたツアーをやり遂げなければならないからと、本当に僕を押し付けたんだ。僕にとっては“本当に断っていいのか? 一生に一度のことじゃないか”という考えもあった。最初のライヴの前は、一度しか通しで演奏したことがなかったから、特にめちゃくちゃ怖かったよ。ベストを尽くしたと思う。僕の見方では、あれは“Yes with me”か、“No Yes”かのどちらかだね。だから、僕のことは我慢してもらって、素晴らしいミュージシャンを聴いてほしい!」

Q:ツアーの後、イエスはあなたを解雇しました。しかし3年後、彼らはあなたを呼び戻し、あなたはアルバム『90125』をプロデュースしました。このアルバムは「Owner of a Lonely Heart」のヒットにより、彼らの最大のヒット作となりました。しかし同時に、グループだけでなく、私のようなファンも、あの曲は完全に裏切りだと思っていました。大のイエス・ファンであるあなたは、そのような見方もできるのでしょうか?

「もちろんだよ! イエス・ファンから一番好きなイエスのアルバムは何かと聞かれたら、僕は『Close to the Edge』と答える。2番目が『Relayer』、3番目が『The Yes Album』かな。『90125』はいいアルバムだと思うけど、イエスのベスト・アルバムではないね」

Q:なぜもっと多くのアメリカ人アーティストと仕事をしないのですか?

「エキセントリックな年老いたイギリス人レコード・プロデューサーを雇う度胸のあるアメリカ人はあまりいないからね!」