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ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのロイヤルティ問題 裁判所はノエルとミッチの代理人が訴訟可能であると認める

2024/01/30 20:38掲載
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The Jimi Hendrix Experience (Image credit: Hulton Archive/Getty Images)
The Jimi Hendrix Experience (Image credit: Hulton Archive/Getty Images)
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(The Jimi Hendrix Experience)ノエル・レディング(Noel Redding)ミッチ・ミッチェル(Mitch Mitchell)は、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)が亡くなった後、1970年代初頭に自分たちが持つ音楽著作権の権利を手放しました。しかし、現在のようなストリーミング配信で利益を得る時代がくるとは予想していたわけではなかったため、2人のエステート(遺産管理団体)は、2人が演奏した楽曲のロイヤルティの分配を受ける権利があると主張しています。

英ガーディアン紙によると、ロンドンの高等裁判所は1月29日、1970年代に権利を手放したベーシストのノエル・レディングとドラマーのミッチ・ミッチェルの代理人が著作権の変更を求めることができるとの判決を下しています。これにより、2人のエステートがソニー・ミュージックエンタテインメントに対してストリーミングのロイヤルティをめぐって訴えることが可能になりました。

レディングが作曲したごくわずかな曲を除けば、ヘンドリックスはバンドの楽曲のほとんどを作曲し、ソングライティングのロイヤリティを単独で得ていましたが、トリオはヘンドリックスが1970年に27歳で亡くなる前に一緒に作った音源のロイヤリティは分け合っていました。

しかし、ヘンドリックスが亡くなると、2人はジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの音楽はもうリリースされることはないだろうと考え、またCDでのリイシューやストリーミング配信で利益を得る時代がくるとは予想していなかったため、1970年代初頭に音楽著作権の権利を手放しました。その際、レディングは10万ドル、ミッチェルは24万ドルを受け取り、2人ともその収益をめぐって将来訴訟を起こすことはできないと記した書類に署名しました。

レディングとミッチェルはそれぞれ2003年と2008年に亡くなりました。

2人のエステートは2022年2月、ソニー・ミュージックエンタテインメントに対してストリーミングのロイヤルティをめぐって訴訟を起こしました。2人には、2人が演奏した楽曲のロイヤリティの分配を受ける権利があると主張し、「2人は仕事に対する十分の報酬を受けておらず、2人とも比較的貧しい状態で亡くなった」と主張していました。

ソニーは、レディングとミッチェルが署名した「将来訴訟を起こすことはできない」と記した書類があるので裁判は防ぐべきだと主張し、訴訟を破棄させようとしました。しかし1月29日、ロンドンの高等裁判所のマイケル・グリーン判事は、この訴訟は裁判に移行する可能性があり、おそらく2025年になると裁定しました。

判決後、2人のエステートの弁護士であるローレンス・アブラムソンは「ジミ・ヘンドリックスが史上最高のギタリストの一人であったことは誰も否定しない。しかし、彼はひとりでレコーディングをしたわけではなく、ノエルとミッチの貢献なしには成功を収めることはできなかったでしょう」とコメントしています。

ソニーはこの判決についてコメントしていません。

2人のエステートは、2人がヘンドリックスと交わした当初の契約に沿ったロイヤリティの分配(それぞれ25%、ヘンドリックスが50%)を求めています。最初の2022年の訴訟では、著作権の再譲渡と、その金額に対する逸失利益と利息、さらに損害賠償と訴訟費用を求めていました。