国内外でイヤホンやヘッドホンの使いすぎ、大音量のコンサート参加などによる難聴が危惧されています。補聴器は聴覚を助けるだけではなく、使用者の寿命を延ばすのに役立つ可能性があることが、新しい研究で明らかになっています。南カリフォルニア大学(USC)の研究者らは、補聴器使用者の死亡リスクを24%減少させると報告しています。
世界的に、何千万人もの人が難聴の影響を受けていますが、補聴器は、それを必要とする人の10分の1しか利用していないという。
Keck Medicine of USCの耳鼻咽喉科医であり、この研究の主任研究者であるJanet Choi医学博士はメディアリリースでこう述べています。
「定期的に補聴器を使用している成人の難聴者は、補聴器をまったく使用していない成人よりも死亡リスクが24%低いことがわかりました。これらの結果は、補聴器が人々の健康を守り、早期の死亡を防ぐ役割を果たす可能性を示唆するものです」
補聴器の使用が死亡リスクに及ぼす影響を調べた研究はこれまで限られており、Choi博士は、今回の研究は、この関係についてこれまでで最も包括的な分析であると主張しています。
この研究は、聴力検査を受け、補聴器の使用状況に関するアンケートに回答した20歳以上の成人約10,000人を対象に行われました。10年間の追跡調査期間中、研究チームは彼らの死亡状況をモニタリングしました。
難聴が確認された成人1,863人のうち、237人は補聴器を常用していましたが、1,483人は補聴器を使用しませんでした。その結果、難聴の程度、年齢、民族、収入、学歴、病歴などの要因に関係なく、補聴器の常用者の死亡リスク低下は一貫していることが明らかになっています。
また、この研究では、補聴器を時々使用する人と使用しない人の間で死亡リスクに変化が見られなかったことから、使用頻度が低いと寿命が延びない可能性があることが示唆されています。Choi博士は、補聴器はうつ病や認知症のリスクを減らすことによって長寿を増進する可能性があると推測しています。