Paul Stanley (Image: c Jeff Kravitz/FilmMagic - Getty)
キッス(KISS)の
ポール・スタンレー(Paul Stanley)が様々な質問に回答。英Classic Rock誌企画。
「初めて聴いた音楽」「初めて歌った曲」「史上最高のアルバム」「お気に入りのソングライター/シンガー/ギタリスト」「アンセム」「俺が作った最高/最悪のアルバム」「俺が見た最高のライヴバンド」「最も過小評価されているバンド」「泣ける曲」「俺の葬式で流してほしい曲」など
■初めて聴いた音楽
「音楽を聴かなかった時代のことは覚えていない。俺は音楽が生活の一部だった家庭で育った。最初に聴いたのはベートーベンの“皇帝”(ピアノ協奏曲第5番)だった。幼児だった頃には、ロックンロールがあった」
■初めて歌った曲
「子供の頃は家の中でアカペラで歌っていた。ディオン・アンド・ザ・ベルモンツの“A Teenager In Love”とか、エヴァリー・ブラザーズの“All I Have To Do is Dream”とか、ポップスのヒット曲が大好きだった。俺の家族はみんな素晴らしい声を持っていた」
■史上最高のアルバム
「レッド・ツェッペリンのファースト・アルバムは必聴。テンプテーションズとオーティス・レディングも大好き。ビートルズの『Rubber Soul』はシンプルな中に雄弁さがある。そこに込められた感情が、このアルバムを特別なものにしている」
■お気に入りのソングライター
「コール・ポーター、アーヴィング・バーリン、キャロル・キングとジェリー・ゴフィン、レノンとマッカートニーなど、偉大なライターはたくさんいるけど、ボブ・ディランは先駆者であり、彼の画期的な歌詞は革命的だった。ディランがレノンとマッカートニーに影響を与えたのであって、その逆ではないだろう」
■お気に入りのシンガー
「スティーヴ・マリオットは本当に驚異的だった。彼はステージに上がってロックンロールを説き、それが俺の活動のインスピレーションになった。ロックではスティーヴ・マリオットとロバート・プラントは驚異的なシンガーだった。ソウル・ミュージックでは、サム・クック、デヴィッド・ラフィンなど多くの人たちがそうだった」
■お気に入りのギタリスト
「ジミー・ペイジはベートーベンのような存在で、コンセプチュアルな天才であり、オーケストレーターであり、音で絵を描く人だ。レッド・ツェッペリンを当時の他の偉大なバンドから引き離したのは、彼のビジョンと視野だった。彼の演奏はとても輝かしく、常に情熱的で、完璧さのためにその情熱を犠牲にすることを決して厭わなかった」
■アンセム
「明らかに絶対的なのは(キッスの)“Rock And Roll All Nite”。カサブランカ・レコードの社長、ニール・ボガートの功績を称えなければならない。ある日LAで、彼は俺たちをオフィスに連れて行き、“観客が歌って共感できるようなロック・アンセム、バンドの叫びが必要だ”と言った。彼はスライ&ザ・ファミリー・ストーンの2曲、“Dance To The Music”と“I Want To Take You Higher”を挙げていた。スライ&ザ・ファミリー・ストーンはジミ・ヘンドリックスのオープニング・アクトを務めたのを見たことがあるんだけど、彼らは信じられないほどパワフルで、強いメロディに引き込まれる曲ばかりだった。
俺はニールのオフィスからホテルに直行して、“I wanna rock and roll all nite, and party every day...”というコーラスのコードとメロディを書いた。この曲はバンドの哲学を要約したもので、俺らだけでなく、すべてのロック・アンセムのテンプレートになった」
■俺が作った最高のアルバム
「俺たちは『Kiss Alive』で究極のキッス・アルバム、究極のライヴ・アルバムを作り上げた! 俺たちは、キッスのライヴの会場にいるような感覚に浸って貰いたかった。周りの人たちの喧騒が聞こえ、爆発音がまるでその場にいるような大音量になるようにね。アルバムが発売されるとすぐに飛ぶように売れた」
■俺が作った最悪のアルバム
「2枚ある。『Unmasked』と『Music From The Elder』だ。『Unmasked』は熱意に乏しく、度胸もなかった。実際、その時点のバンドにも度胸はなかったのかもしれない。『The Elder』は、俺たちが感動させようと意識するべきでない人々、つまり批評家を感動させようとした誤った試みであり、俺たちが本来感動させるべき人々、つまりファンを忘れてしまっていた」
■俺が見た最高のライヴバンド
「1969年8月29日、ニューヨークでのレッド・ツェッペリン(注:8月29日のライヴは、実際にはクイーンズのシンガー・ボウル・ミュージック・フェスティバルで開催)。超越した瞬間だった。あのミュージシャンたちの間には、魔法とシンクロニシティとテレパシーがあった。4人が彼らのすべてを融合させたものを創り出し、目まぐるしい変化に対応していたことは、決して忘れることのできないものだった」
■最も過小評価されているバンド
「偉大なフィリー・ソウルやモータウンが、これまでに作られた最も素晴らしい音楽のひとつとして正当に評価されることなく、ラップのバック・ビートに追いやられているのは悲劇だ。オージェイズ、スタイリスティックス、スピナーズ......これらの音楽は記念碑的なものだし、そしてそれはロックンロールの影響と同じくらい、俺の音楽と音楽への愛に大きな影響を与えた」
■俺の土曜の夜のパーティーソング
「モータウンじゃないとね。テンプテーションズやフォー・トップスの曲なら何でもいい」
■俺の「恋のムード」ソング
「エリック・カーメンの“All By Myself”でないことを祈る!」
■泣ける曲
「(プッチーニ作曲の歌劇『トゥーランドット』のアリア)“Nessun Dorma(邦題:誰も寝てはならぬ)”は、俺にとって信じられないほど感動的な曲なんだ。子供の頃に初めて聴いたとき、背筋がゾクゾクした。歌詞を知らなくてもその奥深さを理解できるという音楽の力を教えてくれた。今でも涙が流れることがある」
■俺の葬式で流してほしい曲
「(トロッグスの)“Wild Thing”があれば、いいキッカケになるかもね。泣くか笑うかのどちらかを残してあげたい」