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集中力が落ちてきたら「川のせせらぎ」を聞こう 集中力を表す脳波が上昇 最新研究結果

2023/12/22 21:14掲載
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listen to music while studying
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新しい実験で、集中力が落ちてくるタイミングに「川のせせらぎ(River Sound)」を流すことで、集中力を表す脳波が上昇することが確認されました。研究チームは、学習時、特定の音により聴覚を刺激することで集中力向上の可能性を発見したと報告しています。

以下、三菱鉛筆株式会社のプレスリリースより

 三菱鉛筆株式会社は、芝浦工業大学の菅谷みどり教授(以下「芝浦工大」)とストーリア株式会社と共同で、筆記具の役割である“書く・描く”ことに加えた新たな提供価値を創出するための試みの一つとして、学習中に特定の音による聴覚刺激で集中力が向上する可能性について実証実験を実施いたしました。

 今回の実証実験では、集中力が落ちてくるタイミングに、「川のせせらぎ(River Sound)」を流すことで、集中力を表す脳波が上昇することを確認しました。

 なお、本論文は、IoTに関する技術を議論する国際会議、APRIS(Asia Pacific Conference on Robot IoT System Development and Platform)2023に採択されました。

【背景】

 当社は、筆記具という商品を通じて、多くの人が生まれながらに持つ個性と創造性を解き放つ表現体験そのものをご提供していくことを経営方針として事業活動を行っており、筆記具づくりに限定することなく、提供価値をさらに広げ、高めていくことを目指しております。

 新たな提供価値を検討する中で、学習時の集中力が低下してきたタイミングに視覚や聴覚を通じた刺激により集中力を途切れさせることなく、学習を効率的に行えるのではないかとの仮説に至り今回の実証実験につながりました。今回の実験結果を応用することで、個人の勉強だけではなく、授業の最適化、日常の作業の効率向上につながることも期待されます。

 集中力の維持を個人の努力に委ねるのではなく、状況に合わせて自動的に集中力を維持、向上するようなサービスへの展開が期待されます。

 なお、筆記動作から集中力を予測する研究は、「2023年度人工知能学会全国大会(第37回)」に論文が採択されております。

https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2023/subject/4Xin1-31/date?cryptoId=

【実験手法】

 EEG*1(Electro Encephalo Graphy)信号を取得するInreraXon Inc.製のヘッドバンドを装着した実験協力者に対し、情報処理能力を測定することができるPASAT*2(Paced Auditory Serial Additions Task Clinical Assessment for Attention)テストを実施しました。

 PASATテストは前後半それぞれ2分の計4分間行い、後半の2分間では実験協力者に対してさまざまな視聴覚刺激を与えます。この時の脳波とPASATテストの正答率を前後半で比較し、各視聴覚刺激によって集中力がどのように変化するかを調査いたしました。

 *1:EEGは、頭皮上の脳の自発的な生物学的電位を増幅して記録することによって得られる信号パターンです。この電位は脳表面の巨視的な活動を反映することが示されており、頭皮に適用される非侵襲性電極を使用して取得されます。

 *2:PASATテストは、一定のリズムで読み上げられる1桁の数を聞き、前後の数を加算した数を順次回答するものです。

【実験タスクの概要】

 今回のPASATテストでは、通常の環境下で2分間テストを行った後、休憩を入れずに環境光(Red、Blue、Green)と背景音(White Noise、River Sound、Classic Music)下でのテストを2分間行い、前半と後半の脳波とPASATテストの正答率を比較しました。

 その結果、背景音として、River Sound を流すことで、正答率が向上する傾向がみられました(図1)。

また、赤いライトと比較して、River Sound のγ波が有意差に高い(1%水準)傾向が得られました(図2)。


図1 刺激前後のテストの正答率の比較


図2 刺激を与えたときの脳波(γ波)の値

【考察】

 学習時の集中力が切れるタイミングで、背景音としてRiver Sound(川のせせらぎ)を流すことで、集中力が維持、向上できる可能性があることが分かりました。今後、サービスとして展開をするために、実験協力者を増やし、また刺激に対する感度を把握し、どのような刺激がより集中力を向上できるかを検証していきます。

【実験を踏まえたコメント】

三菱鉛筆株式会社 研究開発センター品川

 今回の実証実験の結果は、これまで“書く・描く”という筆記具が提供してきた価値に加えて、一人一人によって異なる集中状態を把握し、より効率的かつ的確な学習や作業を実現するという新たな価値提供につながる一歩と捉えております。集中力の維持・向上という新たな技術を通じて、お使いいただくお客様に寄り添い、一人一人のユニークさを引き出すことによって、当社の企業理念である「違いが、美しい。」を実現していきたいと考えております。

 集中力は認知プロセスにおいて極めて重要であり、多くの研究者が背後にあるメカニズムを研究し、脳波信号と集中力の関係を研究しております。今後もさまざまな共同研究を通じて、手書きと集中の関係を明らかにして新しい価値を創造することで、多様な社会課題解決に貢献してまいりたいと思います。