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『Nevermind』ベイビーが起こしたニルヴァーナらに対する児童ポルノ訴訟が復活 控訴裁判所が差し戻し判決

2023/12/22 10:13掲載
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Spencer Elden - Nirvana / Nevermind
Spencer Elden - Nirvana / Nevermind
ニルヴァーナ(Nirvana)のアルバム『Nevermind』のジャケット・カヴァーに赤ちゃんの頃の写真が使われた男性スペンサー・エルデンが、ニルヴァーナなどを相手取って起こしていた児童ポルノ訴訟が復活しました。

このカヴァー画像は本人の同意なしに撮影・使用されたもので、このアートワークは児童ポルノにあたると主張して、バンドメンバーらに児童ポルノと性的搾取の疑いで損害賠償を求めた訴訟は、2022年9月にカリフォルニア州の連邦地裁が、訴状は10年の時効を過ぎて提出されたものであると判断し、エルデンの請求を退ける判決を言い渡しました。しかし、エルデンはその後、この棄却を不服として控訴していました。

そして、12月21日、第9巡回区控訴裁判所はこの連邦地裁の決定を覆しました。第9巡回区控訴裁判所は「(2021年に発売された30周年記念ボックス・セットを含む)再公開(リイシュー)されるたびに新たな傷害をエルデンに与える可能性があるため、訴えは時効によって妨げられるものではない」と指摘し、「時効を理由に認めたのは誤りである」と結論づけています。

第9巡回区控訴裁判所の判事は「児童ポルノの被害者は、ポルノが再公開されることによって新たな損害を被る可能性がある。この結論は、児童ポルノを見るたびに被害者の虐待が繰り返されるという最高裁の見解と一致する」と述べています。

この判決は、エルデンの勝訴を意味するものではありません。訴訟は下級裁判所に戻り、そこでエルデンは実際に画像が児童ポルノの定義を満たしていることを証明しなければなりません。ニルヴァーナ側は強く反論しており、一部の法律専門家もこの判決を疑問に持っています。

ニルヴァーナ側のバート・デイクスラー弁護士は、米ビルボード誌にて声明を発表。今回の判決は「手続き上の後退であり、彼らの核心的な主張には影響しない。我々は、この無益な訴訟を精力的に弁護し、勝訴することを期待している」と述べています。

エルデン側の主任弁護士ロバート・ルイスは声明で次のように述べています。「スペンサーは判決に非常に満足しており、法廷に立つ日を楽しみにしています。この判決は、すべての児童ポルノ被害者にとって重要なものです」。

エルデンは金銭的賠償を求めるとともに、今後の再リリース時に『Nevermind』のジャケット・カヴァーを変更するよう要求しています。

エルデンの最初の訴訟は2021年8月でした。これまでの経緯を振り返ります。

同年12月、ニルヴァーナ側の弁護士はカリフォルニア州の連邦裁判所に棄却の申し立てを行いました。弁護士はバンドが違反行為として訴えられている法令には10年の時効があると述べ、「この期間は、原告が“請求の基礎”となる違反または傷害のいずれか遅い方を合理的に発見した時点から始まる」ため、エルデンは2011年8月以前にアルバムのカヴァーと写真を知っていたので、すでに時効は成立していると主張していました。

ニルヴァーナ側は「『Nevermind』のジャケット写真は1991年に撮影され、遅くとも1992年までには世界的に有名になっていました。エルデンは、2011年よりもずっと前からこの写真のことを知っており、写真に写っている赤ちゃんが自分(他の誰かではない)であることも知っていました。彼は何十年も前から、想定される違反と傷害の両方の事実を完全に認識していたのです」と述べ、さらにエルデンが過去に「報酬と引き換えに写真を再現した」ことや「女性を口説こうとするためにそのつながりを利用した」ことを指摘し、「エルデンは30年間、自称“ニルヴァーナ・ベイビー”としての有名人から利益を得てきた」とも主張していました。

この訴訟は、エルデン側がニルヴァーナ側の棄却申し立てに対する回答期限である2021年12月30日を過ぎたため、裁判官は2022年1月3日、期限を過ぎたことを理由にこの訴訟を却下しました。しかし、その際、エルデンと彼の代理人には訴状を修正して再提出するための10日間の猶予が与えられました。この訴訟は翌22ンエ1月12日にロサンゼルスの連邦裁判所に再提起されました。

再提出された訴訟では、ニルヴァーナのバンドメンバーであるデイヴ・グロールとクリスト・ノヴォセリック、カート・コバーン・エステート、コートニー・ラヴ、写真家のカーク・ウェドル、ユニバーサル・ミュージック・グループ、UMGレコーディングス、MCAレコード、デヴィッド・ゲフィン・カンパニーが再び訴訟の被告として名を連ねていました。

エルデン側は再提起で「各被告はニルヴァーナのアルバム『Nevermind』のジャケットにこの画像が印刷されたときに18歳に達していなかったスペンサーを描いた児童ポルノを、故意に所持、輸送、複製、広告、宣伝、提示、配布、提供、および/または入手し、広範囲に搾取した」と主張し、「上記の行為の結果、スペンサーは本訴訟の提起に先立つ10年間に損害を被り、上記の違反行為が続く限り損害を被り続ける」と書いていました。また「スペンサーを描いた児童ポルノを意図的に商業的に販売し、アルバム『Nevermind』、バンド、およびニルヴァーナの音楽を宣伝するために、スペンサーの画像の淫らな性質を利用して、最低でも総額数千万ドルの利益を得た」とも主張していました。