キッス(KISS) の1975年アルバム『Dressed to Kill(邦題:地獄への接吻)』のジャケット・カヴァーには、いつものステージ衣装ではなくビジネス・スーツを着たキッスのメンバーが登場しています。この写真の裏話を、撮影したロック・フォトグラファーのボブ・グルーエンがMetal Mayhem ROCの新しいインタビューの中で話しています。
グルーエンによると、この写真はもともと、アルバム・カヴァーになることを想定して撮られたものではなく、米Creem Magazineのコミック・ストリップ(※ストーリーを一連のコマやイラストレーションにより伝える漫画作品)のためのフォト・セッションの一環として、ついでに撮られたものでした。
メインで撮られたのは、クラーク・ケントがスーパーマンに変身するように、キッスがスーツ姿で電話ボックスに入るところ、そして、その後にコスチュームを着て出てくるところの2枚でした。写真下。
グルーエンによると、撮影は1974年10月26日、ニューヨーク市のウエスト23丁目と8番街の角で行われました。
グルーエンはこの写真の裏話を話しています。
「僕らは地下鉄(の駅)にいた。コートを脱いでネクタイを締めて電話ボックスに入っていくところを撮った。それから、ページの中で写真が逆行するのが嫌だったから、実際に別の地下鉄(の駅)に行って(2枚目の写真を)撮った。電話ボックスに入った同じ方向で走って出てくるようにしたかったんだよ」
グルーエンよると、最初の電話ボックスの写真は23丁目駅で撮影され、2枚目は14丁目駅で撮影されたという。
その後、後にアルバム・カヴァーとなる写真が撮影されました。
「地下鉄から出てきたとき、“街灯のそばに立って、2、3枚写真を撮ろうよ”と言ったんだ。アルバムのジャケットになるなんて考えてもいなかった。本当にこのコミックの一部だったんだ」
長い間、キッスのメンバーが着ているのは当時のキッスのマネージャー、ビル・オーカインの服だったと言われていましたが、グルーエンは、この写真でキッスの少なくとも2人が着ているのは彼の服だったと回想しています。
「スーツを見ると、ジーンは僕のスーツを着ている。彼には小さすぎたし、妻の靴を履いているから、彼の足はまるで怪物のように見えるんだよ。足の代わりに蹄があるように見えるんだ。
エースも僕のスーツと靴も履いている。それがどれほどの価値があるか知っていたら、40年前にあの靴を手放すことはなかっただろう。白い靴はシミがついていて、履くつもりもなかったから手放したのを覚えているよ」
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