Bob Dylan / 50th Anniversary Collection 1973
ボブ・ディラン(Bob Dylan)が50年前の1973年に録音した未発表のスタジオ・アウトテイク集がヨーロッパ限定で販売されました。公式発表はありませんが、近年、ロック界では毎年12月の恒例行事となっている著作権保護期間を延長させるための処置としてリリースされたようです。
ヨーロッパでは、著作権所有者によって正式にリリースされていない場合、録音物が作成されてから50年後にパブリックドメイン(著作権の保護期間が終了した著作物)になることが法律で定められています。これは「Use it or lose it」と呼ばれています。
EUは2011年に音楽著作権の保護期間を録音後50年から70年に延長するルールを採用しましたが、著作権保護を継続して受けるためには、録音から50年以内にリリースしていなければなりません。50年経過してもリリースされていない録音は保護の延長の対象外(=パブリックドメイン)となります。
これまでビーチボーイズ、ビートルズ、ピンク・フロイドなどが著作権保護期間を延長させるための処置として、このような50周年記念コレクションを限定リリースしています。ストリーミング・サービスに流すアーティストもいれば、限定的なフィジカル・リリースを選ぶアーティストもいます。
ボブ・ディランのチームは、長年にわたって様々な方法でこの問題に対処してきました。最初の3枚のエレクトリック・アルバム(『Bringing It All Back Home』、『Highway 61 Revisited』、『Blonde on Blonde』)のアウトテイクの著作権保護期限が迫ったとき、彼らは18枚組のボック・セットをリリースしました。また時には、数百枚のCDをプレスし、一般に通知することなくヨーロッパの店舗にランダムに送ったりしてきました。
今回リリースされたのは『50th Anniversary Collection 1973』という28曲入りのアルバム。サム・ペキンパー監督の西部劇映画『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』(1973年)のサウンドトラックとして同年にリリースされたアルバム『Pat Garrett & Billy the Kid』のサウンドトラック・セッションのスタジオ・アウトテイクのみで構成されています。今月初め、ヨーロッパで限定販売されたようで、すでにオンラインでは数百ドルで取引されています。
以下、写真と曲目は
discogsより。
■『50th Anniversary Collection 1973』
1 Billy (Rehearsal 1)
2 Billy (Rehearsal 2)
3 Billy (Rehearsal 3)
4 Billy (Alternate 1)
5 Turkey (Rehearsal 1)
6 Turkey (Rehearsal 2)
7 Turkey (Instrumental)
8 Billy Surrenders (Rehearsal 1)
9 Billy Surrenders (Rehearsal 2)
10 And He Killed Me Too
11 And He Killed Me Too (Rehearsal)
12 Billy (Alternate 2)
13 Pecos Blues (Rehearsal)
14 Pecos Blues
15 Goodbye Holly
16 Turkey II (Tom Turkey)
17 Knockin' On Heaven's Door
18 Sweet Amarillo (Rehearsal)
Written-By – Donna Terry Weiss*
19 Billy (April Rehearsal 1)
20 Billy (April Rehearsal 2)
21 Untitled 1973 Instrumental No. 1
22 Untitled 1973 Instrumental No. 2
23 Final Theme (Rehearsal)
24 Final Theme (Ride Billy Ride)
25 Final Theme (Alternate)
26 Knockin' On Heaven's Door (Instrumental)
27 Rock Me Mama
28 Billy (Fragment)