ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel) は先日リリースした21年ぶりのスタジオ・アルバム『i/o』について、英Prog誌のインタビューの中で話しています。
Q:『New Blood』から12年、『Up』から21年が経ちますが、このアルバムの制作はいつから始め、どのように進んでいったのですか?
「私は常に新しいアイデアを生み出し、常に新しい素材を生み出すプロセスをしているので、始まりも終わりもない。大変なのは、完成させ、歌詞を自分が満足できるところまで持っていくこと。プロのミュージシャン以外の生活もしたかった。
画家のハワード・ホジキンのアトリエを訪れたことがある。彼は、白い布で隠されたイーゼル(画架 ※絵をかくとき、カンバスを立て掛ける台)にたくさんの絵を飾っていた。彼は30年前の作品や15年前の作品を指差した。そこにある絵すべてがまだ未完成で、進化のさまざまな段階にあった。私も自分の曲をそんな風に扱っていると思う。(収録曲の)“Playing For Time”は完成までに12年かかった。大部分は1ヵ月以内に完成したが、最後の部分はかなり後になってからできた。“Road To Joy”には、古い曲の一部分があって、それが残りの部分にインスピレーションを与えたりしていた。農家で育ったので、作物ができるまで収穫はしないんだ」
Q:このアルバムの包括的な歌詞のテーマ/コンセプトは何ですか?
「年齢を重ねるにつれて、たぶんこれ以上賢くなることはないだろうが、耳を傾け、観察することを心がけて、いくつかのことを学んだ。私たちは独立した島々ではなく、すべて全体の一部であると思うことは、とても納得がいった。私は、すべてのものが相互に関連しているということを本当に語ろうとしているのだと思う。
私たちが生き残れるかどうかは、気候危機に対処する新たな方法を生み出し、私たちを生んでくれた自然界と再びつながることができるかどうかにかかっていると思う」
Q:このアルバムにおける月の意味(満月ごとに新曲を発表、タイトルが木星の衛星イオを指しているとも読めることなど)は何ですか?
「以前、アルバム『Up』の頃に自分のウェブサイトで『Full Moon Club』を毎月更新していたので、ある意味、その延長線上にある。私はいつも違ったことをするのが好きだし、人々に空を見上げて、私たちがどのように物事に溶け込んでいるのか、太陽と月が私たちの生活にいかに大きな影響を及ぼしているのかを考えてもらいたいと思ったからなんだ。このやり方の方が楽しいと思ったからね。
i/oはインプット・アウトプット(入出力)のことで、多くの電気機器の背面で見かけるが、木星の衛星でもある。このプロジェクトのタイトルとしてずっと前からあって、i/oという曲も書くつもりだった」
Q:ソロアルバムを振り返るとき、個々の作品と全ての作品のどちらを見ますか?その中で『i/o』はどのような位置づけですか?
「すべてのアルバムを振り返ってみると、ソングライターとして、音の職人として技を磨いてきたことがわかる。『i/o』はすべての一部にすぎない」
アルバムはYouTubeほかで聴けます。
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